第54回「博報賞」功労賞受賞
[静岡県]生田 佳澄(沼津市立開北小学校 教諭)
受賞者は日本語指導担当をきっかけとし、多文化・多言語をバックグラウンドとする子どもたちに対し、主体的にことばを学び、そして発信しようとするモチベーションを高めるべく、指導法や教材の開発に尽力している。
日本に来た子どもたちに対し、受賞者は「みんなで 100冊マラソン」という目標を掲げ、子どもたちが協力して読書に取り組む姿勢を整えるとともに、好きなシーンの感想画を描く活動や、相互の読み聞かせや対話し書く活動を取り入れることで、読書への前向きな気持ちが構築されている。言語の習得と共に、仲間との協力やコミュニケーションの育成にも目が向けられている点は出色である。
また、さまざまな実践が、指導者側からの提供ではなく、子どもたちの「こうしたい」という気持ちが嚆矢(こうし)となっている。「カタカナを書きたい」「カウチがほしい」などの子どもたちの思いから、丁寧な指導を進めている。特に後者では、子どもたちが全校に協力を呼びかけ、牛乳パックを回収し、必要な個数を計算し、つなぎ合わせて彩色し、放送で報告し使い方を楽しんでいる。子どもたちの「日本で頑張れる」という気持ちに大きく働きかけるものになっている。
多くの実践は複数の外部研究機関とも連携されており、随所に子どもたちの興味関心を惹きつける工夫が継続的に展開されている。
※記載の所属・役職は、受賞当時のものです。
博報賞とは
「博報賞」は、児童教育現場の活性化と支援を目的に、財団創立とともにつくられました。日々教育現場で尽力されている学校・団体・教育実践者の「波及効果が期待できる草の根的な活動と貢献」を顕彰しています。また、その成果の共有、地道な活動の継続と拡大の支援も行っています。
※活動領域:国語教育/日本語教育/特別支援教育/日本文化・ふるさと共創教育/国際文化・多文化共生教育 など