活動内容
子どもたちの個性に応じて、多種多様な日本語教材が広げる知的好奇心
受賞者は日本語指導担当をきっかけとし、多文化・多言語をバックグラウンドとする子どもたちに対し、主体的にことばを学び、そして発信しようとするモチベーションを高めるべく、指導法や教材の開発に尽力している。
日本に来た子どもたちに対し、受賞者は「みんなで100冊マラソン」という目標を掲げ、子どもたちが協力して読書に取り組む姿勢を整えるとともに、好きなシーンの感想画を描く活動や、相互の読み聞かせや対話し書く活動を取り入れることで、読書への前向きな気持ちが構築されている。言語の習得と共に、仲間との協力やコミュニケーションの育成にも目が向けられている点は出色である。
また、さまざまな実践が、指導者側からの提供ではなく、子どもたちの「こうしたい」という気持ちが嚆矢となっている。「カタカナを書きたい」「カウチがほしい」などの子どもたちの思いから、丁寧な指導を進めている。特に後者では、子どもたちが全校に協力を呼びかけ、牛乳パックを回収し、必要な個数を計算し、つなぎ合わせて彩色し、放送で報告し使い方を楽しんでいる。子どもたちの「日本で頑張れる」という気持ちに大きく働きかけるものになっている。
多くの実践は複数の外部研究機関とも連携されており、随所に子どもたちの興味関心を惹きつける工夫が継続的に展開されている。
【写真】
ラスト10分間クラスのみんなにUmi 問題を発信中
審査委員より
受賞者の実践や教材が、自校だけではなく、沼津市内の複数の学校で共有され、さらに「特別の教育課程」としてグランドデザインに位置付けられている点は、今後、多くの自治体へのモデルとなるべき姿であろう。また、子どもたちの学習の成果が積極的かつ有機的に地域へ発信されている。ここから、幅広い領域の多くの方々が受賞者たちの実践に関心を抱き、地域全体で子どもたちを育てるという意識につながることが期待される。四半世紀にわたる、きめ細かな実践の継続は功労賞にふさわしいと言えよう。
プロフィール
生田 佳澄
【所属先役職】
沼津市立開北小学校 教諭
【活動開始時期】
1998年
【団体所在地】
静岡県沼津市
【HP】
https://www.nhk.or.jp/school/cld-toolbox/pdf/content/B09.pdf
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体20名(小学生相当20名)
○指導者:内部1名、外部1~2名 外部:外国人児童相談員(県教育委員会所属)支援員(市教育委員会所属):開北小2名、第一小1名、沢田小1名
○協力者(ボランティア等):1~4名 沼津市役所地域自治課より日本語ボランティア:開北小3~4名、第一小3名、沢田小1~2名