学校茶園をとおした、地場産業理解と社会性を育む活動
牧之原市菊川市学校組合立牧之原中学校
日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード:地域の魅力・情報を外部へ発信/ツール作成/ガイド農業/林業/水産業 |静岡県活動内容
「お茶摘み」だけでなく、茶園の管理、茶葉の袋詰め、販売など茶産業に関わるほとんどの工程を体験する
牧之原中学校区は牧之原台地の最も広く平坦な部分に位置し、広大な台地に延々と茶畑が続き、大井川を眼下に遠く富士山を眺望する恵まれた環境の中にある。牧之原中学校の学校茶園の歴史は古く、70年ほど前の開校当時から始まっている。開墾に苦労した牧之原台地にお茶が植えられ、お茶は地域の生計の要だったので終戦後すぐに学校茶園としての経営が始まった。
学校茶園の管理は主に、PTA組織の中にある茶園管理部によって行われているが、生徒も年に数回、草取りや施肥を行っている。毎年、広さ約625m2の学校茶園から生葉で約200kgを収穫し、その日のうちにJAに運び荒茶にして、その後地元の茶農家の手で製茶にしている。特に、お茶摘みから製茶になったお茶の袋詰め、呈茶(試飲サービス)、販売は3年生を中心とした生徒の手で行う。活動の締めくくりとして、自分たちで作ったお茶を味わう「お茶会」を開き、そこに学校評議員を招いて一緒に楽しんでいる。お湯をふさわしい温度に下げ、急須のお茶は均等に分け、最後の一滴まで注ぐ作法なども学んでいる。
毎年、お茶摘みの前には生徒の手で「始めの会」を行い、手摘みの基本である「一芯二葉」を説明するが、小学校の低学年でも理解できるように模型を用意したり、模造紙を用意したり、模造紙に書いたり工夫がみられる。また、終わりの会では生徒によるお茶摘みをした感想の発表があり、貴重な体験の共有となっている。高速道路のサービスエリアや静岡空港における呈茶、販売体験では、自分たちで役割分担を行い、お湯を用意する係や急須でお茶をいれる係、いれたお茶を観光客に振る舞う係、販売を担当する係などに分かれて行っている。こうした体験から、コミュニケーション力が高まり、社会性が養われ、感謝の心が育っていると感じる。また、「茶文化」の奥深さや、旬を感じたり地場産業を理解したりして、日本古来の食べ物や伝統を大切に受け継いでいこうという気持ちも芽生えてきている。
【写真】
茶娘や茶息子の衣装を着てお茶摘みをする3年生
審査委員より
1947年から学校茶園で地場産業である「お茶」に取り組み、PTA組織の茶園管理部と共に生徒が草取りや施肥をし、茶摘み、袋詰め、呈茶、販売を行う。販売や修学旅行先での配布を通じ様々な人と関わり、社会性や感謝の気持ち、地域の伝統を受け継ぐ気持ちを自然に育んでいる。成果として、地域のボランティア・行事に積極的に参加する生徒の姿もあり、地場産業と生徒の関わり方がモデルとなる取り組みである。
プロフィール
静岡県 牧之原市菊川市学校組合立牧之原中学校(まきのはらしきくがわしがっこうくみあいりつまきのはらちゅうがっこう)
【代表者】
山﨑 泰 (やまざき やすし)
【役 職】
校長
【創立】
1947年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童・生徒数 : 81名 ○クラス数 : 4 ○指導者数 : 21名