博報賞

活動タイトル

共に学び共に育つための障がい理解啓発活動の実践

特定非営利活動法人 障がい者福祉推進ネットちえのわ

特別支援教育部門|-| キーワード:障がい種に応じた教材・指導方法・ガイドブックの開発栃木県
特定非営利活動法人 障がい者福祉推進ネットちえのわ

活動内容

読字支援システムの導入による、文字を読むことに困難を抱える子どもの早期発見・対応と困難さの軽減

 「計算はできるが文章題が苦手」「長い文章が読みにくい。時間がかかる」など、読みの困難さは学習全般の学びにくさとなって現れることが多い。中学年以降で顕著化しやすい集団不適応や逸脱行動も、この学びにくさが原因となっている場合が少なくない。こうした実態から、鳥「みんなちがって、みんないい」に基づき、お互いの良さに気づき、一人ひとりを大切にする実践活動

 「健常な児童生徒と障がいのある児童がともに学び育つことを目指して、障がいについて正しく理解し、障がいのある人たちを差別しない人間観・正しい障がい観を育てる」ことを目的として、「我が子の障がいについて、周囲の子どもたち・大人たちにわかってもらいたい」「障がいのある子どもも地域社会の中に受け入れられ普通に生活させたい」という願いを持って、障がいのある子どもたちの保護者を中心に障がい理解啓発活動が始まった。障がいを正しく理解するための学習が組織的計画的に実施されている学校はまだ多くはない。また実施されている場合でも、総合的な学習の時間や道徳の時間に視覚障がいや身体障がいなどわかりやすい(目に見える)障がいについて扱われることが大半である。「ちえのわ」では知的障がいや自閉症など説明しにくい(目に見えない)障がいについても理解してほしいとの思いから、栃木県内の小学校・中学校・高等学校での出前授業を実施、幼稚園・学校のPTA、教職員、民生委員、子どもの家庭指導員など各団体での出前講座を実施している。
 小学校での展開例としては1.絵本の読み聞かせを通して、障がいについて考えるきっかけにつなげる。2.障がいの種別=「目に見える障がい」「目に見えない障がい」についての説明。3.障がいの疑似体験=手袋を使った不自由体験、感覚過敏の体験など。4.障がいのある子どもの事例の紹介。5.作文を通して障がい児の家族、特に兄弟の思いを知り、今後の自分の行動の振り返りをする。など、障がい理解啓発・出前授業とともに、障がい児の保護者による実際的・具体的・体験的な内容を盛り込んでいる。
活動の成果としては、障がい理解出前授業を受けた子どもたちの障がいに対する意識の変化が大きいことがあげられる。また一年限りのものでなく、毎年依頼のある学校が増えており、障がい理解の学習を学校に定着したいという考えが広がっている。2011年に作成、宇都宮市内の小学校・中学校に無料配布した「みんなちがって、みんないっしょ 障がい理解啓発教材」は県外からも要望が数多くあり、増刷を行った。

【写真】
小学校にて児童と保護者に対する障害理解出前授業



審査委員より

インクルーシブ教育の推進には、通常の学級での障害への理解が重要な基盤となる。「ちえのわ」は、発達障害や知的障害等、障害のある子どもたちへの理解を深めるため、障害児の保護者が、家族としての体験にもとづいた実際的、具体的な内容を分かりやすく伝える活動を、地域の小中高等学校や関係の団体に出前講座という形で、組織的かつ長期にわたって展開し、成果を挙げている。

プロフィール

栃木県 特定非営利活動法人障がい者福祉推進ネットちえのわ(とくていひえいりかつどうほうじんしょうがいしゃふくしすいしんねっとちえのわ)

【代表者】
池本 喜代正 (いけもと きよまさ)

【役 職】
理事長

【創立】
2006年

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○正会員 : 28名 ○賛助会員 : 88名 ○団体会員 : 3団体