博報賞

活動タイトル

伝統文化の体験を通した、ふるさとを愛する子どもの育成

柏崎市立高柳小学校

日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード:地域の活性化/まちづくりプラン/行政などへの提案/地域の担い手少子高齢化/人口減少/地方創生新潟県
柏崎市立高柳小学校

活動内容

手漉き和紙の卒業証書制作などの体験活動を通して、ふるさとへの愛着と誇りを持てる子どもに

 過疎化に伴う児童数の急激な減少の中にあって、かつての地場産業だった和紙作りや町を代表する祭りをかけがえのない教育資源として活用し、児童たちが地域を楽しみ、学び、そして主体的に生き生きと活動することで、地域を元気にする子どもに育ってほしいと考えている。
 6年児童が手漉き和紙で卒業証書を製作する活動は旧門出小学校時代から始まり20年間続いている。当初は紙漉きのみであったが、2010年に門出小学校が高柳小学校と統合したことを契機に、楮(コウゾ)の木の栽培から、皮むき、繊維の取り出し、漉くまでの一連の工程を児童自身で行うことにした。1年を通した長い活動ではあるが、目的がはっきりしていることで子どもたちは高いモチベーションを保ちながら、粘り強く丁寧に手本を示しながら指導してくれる工房スタッフに感謝の気持ちを持ち、最後まで諦めずに作業を続けることができている。
 過疎化により活気が失われがちな町を元気にしようと、1988年に始まったのが「狐の夜祭り」である。2014年度、地域の「ひと・もの・こと」を総合的な学習の時間に学ぶ中で、3・4年生が「狐の夜祭り」のお面を自分たちで作りたいと声をあげ、祭りの実行委員の指導を受けながら和紙でお面を製作した。祭り当日は自ら作った狐の面をつけて地域の一員としての自覚をもって参加することができた。
 学校支援地域本部(高柳・地域で子どもを育てる会)として、地域の人々からは、学習支援や伝統芸能である神楽や黒姫太鼓、四半的弓道などの指南をしていただいていている。学校は地域に学び、それとともに、地域が子どもの元気な様子を見て活気を取り戻すこともあり、学校が地域の核となり得ることを感じることができる。「地域は学校の師、学校は地域の核」として、ともに歩む"地域の学校づくり"が着実にできつつある。

【写真】
自分たちが育てた楮の和紙で卒業証書の紙を漉く



審査委員より

地域の自然と伝統工芸を生かして、児童自身が楮の栽培から紙漉きまで行って卒業証書をつくり、一連の工程を通して地域のよさを実感している。地域の祭りに児童が参画し、地域の一員としての自覚も育っている。過疎化に伴う児童数減少の中で、地域の「ひと、もの、こと」に学ぶ教育実践がふるさとを愛する子どもの育成につながったことは高く評価でき、他の学校のモデルケースとなり得る。

プロフィール

新潟県 柏崎市立高柳小学校(かしわざきしりつたかやなぎしょうがっこう)

【創 立】
1972年

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 19名 ○クラス数 : 4 ○指導者数 : 9名