故郷愛を育み、郷土や社会に貢献する心を育成する「ふるさと歴史教室」の実践
田鶴浜地方史の会
日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード:文化財/史跡/遺跡/歴史遺産学社融合 |石川県活動内容
学校と社会が連携する「学社連携」からさらに一歩進んだ「学社融合」ともいえる取組み。
歴史を学ぶことは現代を生き抜く力を学ぶことであるとの想いから、田鶴浜地方の歴史や伝承、伝統文化等を子どもたちに伝えることによって、子どもたちが地域を理解し、愛し、貢献する心の育成を図るとともに、現代を強く生き抜く力の養成を第一の目的として「ふるさと歴史教室」を実施している。
活動では「学社連携」の精神を大切にして七尾市立田鶴浜小学校と田鶴浜地方史の会が連携して毎年6年生児童を対象に講座を開設している。年間で10講座が開かれ、田鶴浜地方にある約6,000年前の縄文前期遺跡をはじめ原始・古代、近・現代に至るまでの歴史・民俗・文化財等の史跡・資料・伝承等から内容を選定している。講座は教室での受講となる「静」と、実際のフィールドワークとなる「動」とに分かれており、両方がバランスよく計画されている。講師については田鶴浜地方史の会・会員が相互の勉強もかねて担当している。ほとんどの会員は教壇に立ったことはないが、それぞれ工夫し苦労をしながら指導に当たっており、それが児童にとって新鮮な刺激となっている。また講座の内容から出題する「ふるさと歴史検定」はこれまでに5回を数え、教職員や一般市民も受験可能で、地域との交流にも一役買っている。2010年度には「ふるさと歴史通り」の開通式が行われた。歴史教室講義室の横廊下に、縄文人の着用した袈裟衣や貫頭衣、縄文土器から近代の生活道具まで展示し、まさに見て触って歴史を学ぶことのできる通りが実現した。
七尾市ではふるさと教育の充実による「心身ともに健やかな児童の育成」をめざしているが、田鶴浜の歴史的名所・旧跡等に児童の手作り銘板の設置、「歴史と自然案内マップ」の作成など、田鶴浜地方史の会との連携で歴史に関心を持って学ぶだけではなく、ふるさとの発展や七尾市のめざす取組みに積極的に参加している点も注目される。
【写真】
「縄文時代の服装と生活道具」についての講義
審査委員より
地元の学校を中心に、地域の伝統文化や歴史を中核とした地域づくりのための多岐にわたる活動を行い、地元校の教育を豊かなものにしている。その活動は、一方的に支援する出前講座方式の「学社連携」型に止まらず、各校のカリキュラムに添って協力、支援するジョイント方式の「学社融合」型のモデルとなる社会活動となっている。
プロフィール
石川県 田鶴浜地方史の会(たつるはまちほうしのかい)
【創 立】
1987年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 48名 ○クラス数 : 2 ○指導者数 : 2名 ○会員 : 28名