博報賞

活動タイトル

地域とのパートナーシップで、共に未来をつくる「別子ファーム」

新居浜市立別子中学校

独創性と先駆性を兼ね備えた教育活動|博報賞| キーワード:愛媛県
新居浜市立別子中学校

活動内容

過疎化による地域の課題を解決しようと生徒が発案した総合学習の取り組み

過疎化という地域課題を解決しようと、生徒たちが地域と協働して展開した「別子ファーム」の活動である。学校が位置する旧別子山村は、人口120名程度で、深刻な過疎化に直面している。この活動は、生徒の一人が地域の課題をSDGsで解決しようと生徒会選挙で訴えたところから始まった。SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の考え方を軸にして、地域の方々のもつ野菜づくりのノウハウと、中学生のアイデアや体力という、互いの強みを活かしながら、地域と生徒が協働で野菜を育てる「別子ファーム」という活動が生まれた。
この活動は、総合的な学習の時間を中心に、全学年19名による探究学習として実施されている。まず、使われていなかった地域の土地を借りて、野菜づくりが始まった。しかし、生徒はノウハウを知らないため、土づくりなど一から栽培方法を地域の方々に教えていただくことになった。生徒たちは、試行錯誤しながら栽培に挑戦し、収穫時には生命の尊さと喜びをかみしめた。さらに、2年前からは収穫した野菜の販売にも挑戦し、儲けが目的ではなく、販売という手段を通した理念の実現を目指し、生徒が自ら行動を起こしていった。地域とのつながりが深まり、昨年には生徒の発案で、消滅していた夏祭りも12年ぶりに復活させることが出来た。
【写真】
「別子ファーム」の野菜を道の駅で販売する様子

審査委員より

応募書類の一つひとつの文章から、生徒の学習を支援しようとする先生方の教育思想の深さと確かさが伝わってきた。特に①手段が目的化しないように注意し、何のための活動かを常に意識していた点、②社会とのつながりは、子どもの自己決定から始まる、という考えのもと、子どもの「やりたい」を大事にしようとしている点、③したがって多数決主義はとらず、すべての生徒が納得する合意形成が目指される点、④教師は子どもの「学びの伴走者」と位置づけ、教師同士でファシリテートを学び続けた点、などが高く評価された。

プロフィール

新居浜市立別子中学校

【代表者】
髙須賀 美雪

【役 職】
校長

【活動開始時期】
2020年

【団体所在地】
愛媛県新居浜市

【HP】
https://besshi-ej.esnet.ed.jp/

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体19名(中学生19名)※活動によって、地元小学生4名も参加
○指導者:内部7名、外部1名
○協力者(ボランティア等):5名
○開催ペースやクラス数:週2時間、3クラス