活動内容
多様な文化にふれて生きる子どもたちが「違いがあるから豊かになれるんだ」という意識を持てるように。
終戦直後、中国残留孤児として中国人に引取られ、その後帰国した人とその家族が本校校区に600名住んでいる。
本校には現在、外国につながる児童が38名在籍し、これは本校児童の20%を超える。内訳としては中国帰国者の3世・4世にあたる児童が25名、その他、韓国・朝鮮、フィリピン、エジプトにつながる児童が13名在籍している。その多くは学校では日本語、家庭では母語で生活をしていることから子どもたちの異文化ストレスという課題が存在している。このような実態に対し、外国につながる児童の「ことばの力」の向上や生活適応などのために、日本語教室における放課後学習や抽出指導、普通学級における個別支援を行っている。さらに、人権教育において多文化共生教育を核として進めている。多文化を認めることは違いを認め合うことであり、それは個性を認め、障害を認め、女性を認め、すべての人権問題を認めることにつながると考えている。
具体的な活動としては総合的な学習の時間および学級活動の時間に本校に在籍する児童とつながりのある国々の文化や歴史的なつながりを学習し、また中国帰国者の歴史的背景や日本語教室の取組みについて理解を深めている。
人権学習保護者参観・啓発への取組みや教職員研修も積極的に行っている。
多文化共生教育を核とした人権教育を学校教育の大きな柱の一つとして学校総体で取組んで7年、ようやく子どもたちの学校生活の様々な場面で「自分とは違う考え方があるんだ」「自分たちとは違った暮し方があるんだ」「外国につながりのある友だちがいて当たり前なんだ」という考えが定着し、互いに認め合うことができるようになってきたという手応えを感じるようになってきた。2010年度には児童・保護者対象の教職員による人権劇「日本語教室って何?」を見てから奇跡的な命のつながりに感動し、祖父の生き様に影響を受けた本校の4年生(当時)児童が、祖父と中国語で話がしたいという想いを強く持ち、中国語教室に熱心に参加するようになり、この児童を主人公にドキュメンタリー番組が製作された。
【写真】
多文化の集いでの「エジプトのコーナー」
審査委員より
児童の20%を超える外国につながる児童を中心にすえた7年に及ぶ実践は、全校児童に互いの文化的背景を尊重する姿勢を育て、自尊感情を高め得るような学びに結実した。その成果は、生徒が自らのルーツにつながる言語を尊重し、学び、さらに学校生活においてそのルーツとなる文化と言語を進んで表現・顕在化させようとする姿勢に表れている。
プロフィール
京都府 京都市立小栗栖小学校(きょうとしりつおぐりすしょうがっこう)
【創 立】
1974年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 176名 ○クラス数 : 10(育成学級2含む) ○指導者数 : 23名