博報賞

活動タイトル

青い目の人形使節から始まった草の根国際交流

設楽町立田峯小学校

国際文化・多文化共生教育部門|-| キーワード:愛知県

活動内容

1927年にアメリカから贈られた「青い目の人形 グレース」の里帰りをきっかけに田峯小学校・保護者・地区が一体となってアメリカの小学校との交流を始めた。1990年に第1回の訪問を行い、以後3年に1度4年生以上の子どもがアメリカの小学校を訪問し交流を深めるとともに、地域の伝統芸能である歌舞伎を上演している。2012年1月には、第8回の訪問を計画している。
 これまでに子どもたちは、初渡米、初めてのアメリカの小学生との交流、外国人の前での初歌舞伎上演、初めてのホームステイ等、たくさんの初めての経験をした。そのなかで、日本文化を紹介する使命感を抱きながら活動し、アメリカの人たちの温かさと文化に触れる経験をすることができた。親睦を深め相互理解に努めると共に、自分たちの生活や文化を見直し自信を持つこともできた。また、子どもたちが進学する中学校では、3年生が田峯小学校と交流する小学校と同じ地区の中学校と相互交流をしている。田峯小学校のアメリカ訪問が、日本とアメリカの子どもたちの交流と相互理解のための大きな架け橋となっている。
 本活動は、保護者のみならず田峯の地域の人たち、「田峯」を好きになってくださった人たちによって支えられている。第1回の訪米を計画した際、「1回で終わらせたくない。」という強い思いで資金作りから歌舞伎の指導をしてくれた保護者・地元の人たちがいた。また、現地の学校交流・歌舞伎上演・ホームステイ等のコーディネイトをボランティアでしてくださる方をはじめとし、学校交流や歌舞伎の解説を英語でしてくださる在米大学教授、訪問団の旅のお世話をしてくださる方々など、多くの人の協力がある。一方、アメリカ訪問に向けた保護者・地域の方の活動が、地域の活力と団結の源となってもいる。地域の伝統芸能「地狂言」を学校の教育活動に取り入れることが地域の後継者の育成にもつながっており、第1回のアメリカ訪問で子どもとして参加した人が、歌舞伎保存会「谷高座」の一員としてアメリカ訪問を支えているという状況も生まれている。

【写真】
現地の小学生も参加した子ども歌舞伎上演



審査委員より

1927年日米友好の思いを込められて贈られた青い目の人形の1体「グレース」がもたらした草の根の異文化間交流は、過去の歴史遺産であるにとどまらず、現代の子どもたちに異文化理解の機会を提供し、郷土を見つめ直し、他者を理解する機縁となっている。こうした交流と相互理解の活動は、未来の多文化社会を生きる子どもたちの学びの確かさと、それを大切にする学校と地域の努力に裏付けられている。20年を越える異文化間の交流は、さらに持続し発展していくことが期待される。

プロフィール

設楽町立田峯小学校【文部科学大臣奨励賞受賞】

団体概要

【創立】
1873年

【団体の規模】
児童・生徒数:14名
クラス数:3
指導者数:6名