博報賞

活動タイトル

韓国の萬徳初等学校との相互訪問・ホームステイ交流事業

唐津市立名護屋小学校

国際文化・多文化共生教育部門|| キーワード:佐賀県

活動内容

名護屋小学校は、豊臣秀吉による文禄・慶長の役の出兵拠点となった名護屋城跡や諸大名の陣跡が残る地にある。名護屋城博物館で開催された「日韓ふれあい伝統芸能」の団員の萬徳初等学校長より、相互訪問・交流の誘いがあり、2000年より交流を行っている。本校の日韓交流を進めるにあたっては、名護屋城博物館より講師を招き、「韓国学習」の時間を特別活動及び総合的な学習の時間に位置づけている。この学習では、韓国語、韓国の文化や風習などを学び、国際感覚やコミュニケーション能力を養うことがねらいで、学んだことを相互訪問・ホームステイ交流という直接体験を通して、異文化(韓国)への理解を深めさせたいと考えている。
 具体的な相互訪問・ホームステイ交流は、7月下旬に本校より5・6年生児童が4泊5日で訪韓し交流を行った。事前に手紙のやりとりを「韓国学習」で行っていたが、初めて出会う萬徳初等学校の友だちとは、最初のうちは戸惑いがちだったが、交流会、レクリエーション、景勝地見学などと一緒に過ごす中で、すっかり打ち解けていった。最後は名護屋での再会を約束して暫しの別れをした。次に8月末、2泊3日の日程で萬徳初等学校の児童を迎え、久しぶりの再会を喜び合うことができた。波戸岬少年自然の家でバーベキューをしたり遊んだりして一緒に過ごすことができた。次の日は全校児童全員で歓迎交流会を開催した。地域や保護者も参加した歓迎会では、互いに伝統芸能を披露したり韓国童謡を全員で合唱したり、最後はプレゼント交換を行った。歓迎会後は、日本の茶道を共に体験した。ホームステイ先では家庭や地域の方々の温かい工夫した交流ができた。交流の最後の別れの場面では互いにハグをしたり、いつまでも別れを惜しんで手を振り続けたりする姿は印象的だった。
 この交流を通して「どうにかして仲良くなろう」「何とかして自分の思いを伝えよう」とつたない韓国語と身振り手振りでコミュニケーションを取ろうとする子どもたちは、普段の学校生活では得られない積極性や逞しさを身につけることができた。また「韓国学習」で得た知識を直接体験すること、伝統芸能の披露や茶道体験、本場キムチなどの異文化体験交流を通して、韓国への理解を深められただけでなく、ふるさと名護屋のよさを再発見することにもつながった。今回の交流では、韓国交流を体験した卒業生が通訳ボランティアとして参加してくれた。通訳をする卒業生の活躍ぶりを本校児童は憧れと羨望の眼差しで見つめ、自分たちの将来の夢にまで繋がるものであった。最後に今回の韓国交流を体験した児童たちは、2年後に交流を行う3・4年生へ「韓国交流報告会」を行うことで、韓国交流への橋渡しを行い本校の伝統として受け継がれている。

【写真】
名護屋小ソーランで萬徳小学校の友だちを歓迎



審査委員より

年間を通して全校生徒が自主的に「韓国学習」を展開している点、その取組が10年間も続いている点、日韓両国の地域関係機関と連携を行い地域ぐるみの交流となっている点が高く評価された。この学習経験が、その後の子どもたちの進路に発展的な影響を及ぼしている点も注目された。さらなる発展が期待される。

プロフィール

唐津市立名護屋小学校

団体概要

【創立】
1875年5月

【団体の規模】
児童・生徒数:134名(8月末現在)
クラス数:7
指導者数:15名(市職も含む)