活動内容
地域には、子ども歌舞伎で有名な長浜曳山(ひきやま) 祭り(国指定重要無形民俗文化財)が、四百年の歴史の中で継承されてきた。この他にも伝統行事や伝統文化・文化財が数多く残り、それらを継承してきた町衆の心意気等、地域には、大人が子どもを育む重要な環境がある。
本校は、このような地域の宝、人材の持つ教育力と文化的財産に着目した。地域の伝統行事や伝統文化の継承に取り組む人々と交わり、伝統文化そのものの価値や精神・技について学び、生き方を考え、地域を誇りに思う生徒の育成を願い、以下のように伝統文化学習を教育課程に位置づけることとした。
先ず、2005年度は、長浜曳山祭りについて学ぶ学習を、1年の総合的な学習の時間で始めた。曳山伝承委員会はじめ、地域の方々には現地での指導や教材の作成面で、現在も全面的な協力を得ている。同時に、長浜曳山博物館・各曳山等の施設を活用させてもらっている。
2006年度以降は、小堀遠州公作の庭園の見学、遠州流茶道体験を取り入れた。また、地域の方々の協力のお陰により、2・3年生の選択教科の授業で、系統的で継続的な学習として「遠州流茶道」「箏」「剣舞・歌謡舞」「三味線」を取り入れられるまでに充実してきた。
学習は、伝統文化の醸し出す心地よさやその魅力を生徒が感得するだけでなく、生き方や豊かな地域社会の創造について考える機会となっている。秋の伝統文化発表会、長浜盆梅展での箏の演奏等は、地域への発信の機会として定着してきた。本校の伝統文化学習は、生徒や保護者・地域の方々にも、豊かな情緒を育む特色ある教育として浸透し、良好な評価を得るようになってきた。
伝統文化学習の展開は、学校と地域とが一体となって取り組める開かれた学校づくりでもある。
2012年度から新学習指導要領が本格実施となる。現在、「曳山囃子」「華道」「伝統手芸」「書道」「尺八」を加え、2・3年生全員を対象とした伝統文化講座に発展・充実させようと取り組んでいる。
【写真】
長濱ゆう歌舞伎「寿式三番叟」の三味線伴奏
審査委員より
郷土の伝統や歴史を生かし、伝統文化における「心」を体験的に学ぶことを重視して、全学的かつ全体的な教育課程に位置づけ取り組んでいる。特別活動の学校行事に今回取り入れられた「文化的行事」の先駆的取り組みとしても評価できる。また、年度ごとに取り組みを発展させた具体的実践は他校のモデルになりうる。地域との連携も深めており、さらに市内の学校との交流・連携を視野に入れた、郷土の文化や歴史の共有化が期待される。
プロフィール
【創立】
1947年
【団体の規模】
・名児童・生徒数:545名
・クラス数:19
・指導者数:37名