活動内容
当地域には食品工場等が多く、南米系を中心とした外国人労働者が増え、その子どもたちは親と一緒に地域の日本語教室に通っていたが、言葉、学力、いじめ、不就学など多くの深刻な問題を抱えていた。「こうべ子どもにこにこ会」は、このような子どもたちの支援を行うことを目的として2002年に設立され、学校、保護者、地域住民・自治会、ボランティア、地域教育機関等と連携しながら全ての子どもたちが自分以外の存在を個性として認め尊重し自立することや、地域の多文化共生を目指し、日本語・教科・母語支援教室を中心にさまざまな事業を展開。今では8カ国もの様々な文化背景を持った子どもたちが通う。彼らの多くが体系的な識字習得がなされていない等、中途半端な状態に置かれ、母語でも日本語でも自己表現を十分にできる言語、学力がない状況にあり、特に中学校の授業、高校進学が大きな壁になっているが、本活動はこうした子どもたちの基礎学力の構築、向上の一助となっている。
また、断片的な支援に陥らないことを念頭におき、「学習」だけでなく?「こころ」?「地域(環境)づくり」などさまざまな観点からみつめることによって、人間としての成長、地域での共生を意識したサポートも行う。
?支援者と臨床心理士の連携による心のケアの充実や、最も大きな影響を持つ親との関係において
も、定期的な保護者会や家庭訪問等を通じて繋がりを重視。
?深江多文化子どもまつりの開催等が地域の日本人住民と外国籍住民がお互いの理解を深められる
機会となり、外国人の子どもたちが生活しやすい環境づくり、さらにはよりよい地域づくりにも
繋がっている。
また、母語支援教室は2006年度からは県教育委員会が実施する母語教育支援センター校制度としての実施や、児童館の子どもたちとの定期的な交流、自治会主催のふれあい喫茶や七夕まつりへの参加等地域の学校、地域住民をはじめとする地域のさまざまな団体、組織との連携を常に意識しながら活動を進めている。子どもの精神面や学習面における成果だけではなく、地域における多文化共生の取り組みが進むなど着実な成果が現れている。
【写真】
日本語・教科支援教室にて1対1でボランティアと学習
審査委員より
外国人児童の自主的な学習や生活の自立を支援することを目的に設立され、日本語教室を中核に、様々な行事等を通して生活面、精神面において大きな支援を行っている。保護者や地域、教育行政が連携しながら、日本語教育、教科教育、母語教育という言語教育を着実に推進している功績は高い。
プロフィール
【創立】
2002年
【団体の規模】
・児童・生徒数:21名
・指導者数:ボランティア19名