活動の目標・方針
・生きたことばで他者と向き合い、対話によって自己を形成する子どもを育てる。
・コミュニケーションによる対話を通して、多文化共生の資質を培う。
活動内容
文部科学省指定「帰国・外国人児童生徒と共に進める教育の国際化推進地域」センター校に在籍し、国際教育職員研修グループのリーダーを長年務めてきた。国際社会に生きる能力・資質の中核にあるのは、独自の観察や分析を生きた言葉で述べ、自信に満ちた言動で首尾一貫した主張のできるパーソナリティーを育てることだと考え、コミュニケーション能力(他者との相互作用としての「対話力」)の育成を国語科の学習目標の中心に掲げる授業実践をした。『ニコラス、どこに行ってたの?』-3年創作劇では、(1)最初の場面の続きの脚本を子ども自らが創作、(2)脚本とセリフを通したことばの運用や表現、(3)演技の中でのコミュニケーションの学び、(4)観客(他者)に届くことばの明瞭さ、(5)原作との比較や互いの演技の批評を通しての意見交換等「対話」に必要な総合的なことばの力を育むことを明らかにした。また、個々の生活実感に立つ「対話」を軸とした学習の組立は、日本語を第二言語として学ぶ外国人児童の言語指導にも大きな成果を挙げた。
審査委員より
国際理解の教育課程の開発という研究の中心として活躍した。国際理解を進めるためには対話が必要となる。しかし当時は、音読を基軸にした音声言語が重視されていた。そこで、真のコミュニケーション力を育成するための方法を開発したり、アメリカに渡っての教材開発、理論的研究と実践研究の統合など生きた言葉のコミュニケーション教育を推進してきた。
プロフィール
服部 久美子(神戸市立こうべ小学校 教諭)
主な著書・論文・文章など
1985年 「生き生きとした表現力をつける朗読の指導」(子どもが生きる授業国語四年) 小学館
1996年 「自尊感情を育てる国際理解教育へのアプローチ」(教職研修No.4) 教育開発研究所
2004年 「多様性を活力にかえるアメリカ合衆国の多言語教育」(国際理解教育のための教材開発-アメリカ合衆国について) 兵庫教育大学国際理解教育研究プロジェクト
2005年 「対話を通して多文化共生の心を育む国際教育」(兵庫教育) 兵庫県教育委員会