活動内容
子どもが漢字に興味をもち、表現生活で自在に使えるようにする漢字指導法の開拓
子どもが漢字を学習してそれを使うことができるようにするのは、国語教育にとってきわめて大事なことであるにもかかわらず、なぜ、子どもの学習意欲とは切り離された学習指導法のままなのか。受賞者は初任教師として勤め始めた頃から抱き続けてきたこの問いを真摯に探り続けた。その実践の成果は全国的な国語科教育学の学会誌にも採択された他、著書『漢字指導法』(明治図書出版, 2019年)等としても刊行され、全国の先生方に受け入れられ、日々の教育実践のための貴重な手がかりとなっている。
子どもにとっては、漢字学習がやがて大人になってから必要になる語彙力や表現力の基礎になる。「漢字ドリル音読」をはじめとする受賞者の漢字指導法は、従来の漢字指導の理念と実践を踏まえながらも、どこの国語教室においても実践することが可能で、なおかつ、子どもが漢字学習に多角的にアプローチすることを可能にする指導方法として開発・提案された。漢字を学び覚えることによって、日本語による理解と表現の幅は大きく広がる。漢字の関わり方を子どもが手に入れて、自分の生活の中に漢字を取り入れることができれば、身の回りの世界の見え方が変わってくる。やがて社会世界に参加するために必要不可欠なツールを提供する実践である。
【写真】
漢字の読みを先習するためドリルを一冊丸ごと音読する
審査委員より
児童の日本語能力を育てていくための重要な基本領域である漢字指導の実情から導き出した課題に、果敢かつ熱烈に取り組んだ貴重な教育実践者である。子どもの学習意欲を引き出しながら、学んだ漢字を積極的に「使わせる」ことが豊かな語彙を身につけるということを実証する教育実践を展開してきたことは、特に高く評価することができる。受賞者の実践報告からは、漢字に対する子どもの学習意欲を引き出すいくつもの働きかけの工夫によって、子どもたちが主体的・意欲的に学ぶ姿をみせるようになることを教えられ、励まされる。
プロフィール
土居 正博
【所属先役職】
川崎市立はるひ野小学校 教諭
【活動開始時期】
2015年
【団体所在地】
神奈川県川崎市麻生区
○子どもの人数:全体35名(小学生相当35名)