博報賞

活動タイトル

子どもを取りまく学校・園・地域とともに特別支援教育の推進

夏目 徹也

特別支援教育部門|-| キーワード:障がい理解推進/心のバリアフリー静岡県
夏目 徹也

活動内容

研修や学習会、精神的サポートで地域の関係機関や支援者をつなぎ、子どもを多面的に支える

 特別支援教育支援員、個別支援員、心の相談員など教職員でない方々が多くの現場に入るようになったが、特別支援教育や発達障害などについて研修する機会は少ない。子どもと関わりの多い幼稚園、保育園、放課後学童保育クラブ、NPOなどでも学びたいという関心の高さがあった。そこで多くの人や組織が研修や学習をする機会を持ち、理解を深めることで「特別」ではない関わりが増え、子ども一人ひとりが健全に育つと考えた。
 2006年より、志太地区の特別支援教育支援員、相談員、教員、保育園、幼稚園、福祉施設職員などを対象に月1回、土曜日の午後2時間「特別支援教育学習会」を開催している。「ADHDやLD、自閉症などの具体的な支援方法というメインテーマの講義」「発達障害などの情報、疑似体験」「困り感のある子どもへの具体的な対応のロールプレイ」という3つの柱で行っている。現場で自信をもって支援、対応ができるようになったと喜びの声も多く聞かれ、その人たちが広く活躍できるようになっている。
 現在まで3つの学校(大井川西小、大井川東小、大井川南小)で、それぞれの校内や他校、幼稚園・保育園で研修の企画・運営を行うとともに、教職員への講義及び疑似体験、助言を行っている。特別支援教育コーディネーターとして、困り感のある子どもについて教職員や保護者、医療・相談機関との調整、相談も行い適切な支援が行われるように動いた。また、発達障害のある子どもへの学習支援・運動支援を目的に静岡福祉大学の教授と一緒に「発達教室」を立ち上げ、直接子どもの支援を行っている大学生や支援者への助言を行うことで、発達障害のある子どもたち・保護者の支援にとどまらず、地域の発達障害に対する理解にもつながっている。
 教室から学校、さらに近隣の小中学校、保護者、地域へと、柔軟性や多面性のある支援を広げ、地域の関係機関や支援者をつなぐパイプ役になっている。

【写真】
野外活動を行うNPOの職員や支援者を対象に研修会



審査委員より

静岡県を中心に、発達障害への支援が始められた頃から長年にわたり通常の学級、通級指導教室、特別支援学級で実践を重ねた。また地域の関係団体、保護者との幅広い連携・支援等も含め、自ら精力的に研究しながら、特別支援教育の地域での発展に貢献した。実践の成果は学術学会での報告、講習会での講演等によって幅広く提供されている。

プロフィール

静岡県 夏目 徹也(なつめ てつや)

【役 職】
焼津市立大井川南小学校 教諭