子どもの想いや願いを生かす、先進的な「教育課程」の実践
上越市立大手町小学校
教育活性化部門|-| キーワード:ふるさと学習/地域学習/地域の良さ発見/地域の自然・生き物・特産物農業/林業/水産業 |新潟県活動内容
教育内容を「6領域」と「学びの時間」に編成。今後の学習指導要領等の改訂にも影響を与えるような試み。
大手町小では文部科学大臣指定の研究開発校として、「真の『自立』と『共生』を目指した教育課程の創造」をテーマに、次代を切り拓いていく子どもにとって必要な資質・能力の育成をめざして実践研究を行っている。
本校の実践研究の根底には「子どもは本来的に学びたい、できるようになりたいと願う存在である」という子ども観がある。したがって子どもとともに教育活動をつくる「子ども中心主義の教育」を行ってきた。各教科領域における問題解決に向かう子どもの姿を集積するとともに、21世紀の社会が求める資質・能力等を検討しながら、次代を切り拓いていく子どもにとって必要な資質・能力を「探求力」「コミュニケーション力」「情報活用力」「創造性」「自律性」「共生的な態度」の6つと、その基盤としての「内省的な思考」であるととらえた。
そして現行では13ほどの教育課程を整理し、「6領域」と「学びの時間」に編成、実施した。6つの領域は「生活・総合」「数理」「ことば」「創造・表現」「健康」「ふれあい」と、子ども自身がそれらの学びを統合することを目的とした「学びの時間」である。
また、体験活動と言語活動のつながりを重視、とりわけ教育課程の中核となる「生活・総合」での体験活動を重視し、たとえば2年では「つくって◯◯」をテーマに「野菜づくり」「自作野菜で調理」等多彩な「つくる」活動を繰り返す。4年は校舎西側を流れる「青田川」を繰り返し探検調査し、「青田川の専門家として青田川を守る」活動を行う。6年は高田の「ハス」を現状調査、研究、「ハス」の栽培等を通し、高田の「ハス」と高田の未来を考えていくなど、豊かな体験を豊かな言語活動に結びつけている。
上記のような活動の結果、学習活動が楽しいと感じる子どもの割合が増えた。保護者たちからも「考える」「学ぶ」「表現する」力が育っている等の声があり、学校を理解し、子どもの育ちを共有し、安心して子どもを学校に任せる保護者が増えている。
【写真】
「青田川クリーンアップ作戦」で青田川のゴミを集める子どもたち
審査委員より
子どもを中心にした継続的な教育課程研究を続け、我が国の教育に多大な影響を与えてきた。新しく開発している現在の6領域と「学びの時間」による教育課程は、これからの社会で求められる資質・能力を視点に創造しており、その取組みは極めて先進的である。また、その成果は実際の子どもの姿となって現れている。学習指導要領の改訂等にも影響を与えることが期待される取組みである。
プロフィール
新潟県 上越市立大手町小学校(じょうえつしりつおおてまちしょうがっこう)
【創 立】
1873年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 300名 ○クラス数 : 15 ○指導者数 : 30名