博報賞

活動タイトル

スポーツNPOによる障がい者のための社会的自立支援と心のバリアフリー化

NPO法人スマイルクラブ

特別支援教育部門|-| キーワード:千葉県
NPO法人スマイルクラブ

活動内容

 発達障がい児が参加出来る運動教室「運動が苦手な子の教室」のスタートは、自閉症児の母親からの「体育の授業についていけないので、教えて欲しい。」という依頼からである。指導者は、現スマイルクラブ理事長大浜あつ子と同理事䑓朝子の二人で、マット、鉄棒、ボールなどを購入して始めたが、口コミで子どもたちが増え、15人となったときにはお手上げ状態であった。じっと並んでいられない子、奇声を発し走り回っている子、他の子どもの声が気になって怒ってしまう子、様々な子どもたちに対して一人が指導をし、もう一人が他の子どもを並ばせたりしているのでは間に合わなくなってしまった。そこで、ボランティアの大学生を募集することにつながった。
 さらに教室数が3カ所になった頃には、この教室を維持継続していくための方法としてNPO法人という道を選んだ。それは、行政でも企業でもできない分野であるということで、NPOとして取り組むことが妥当だと考えたからである。
 ほとんど口コミで広がり、各地域からの要望に応えて開催してきた結果、現在では千葉県内はもとより、茨城県・神奈川県・大阪府・熊本県までに広がった。
 人とのコミュニケーションが苦手だったり、運動技術習得がゆっくりのケースが多く、前転が出来るまでに数年かかった子へ教室中で拍手を贈ったこと。鉄棒を触ることも出来なかった子が、前回り出来た時の笑顔。集団行動が苦手という子どもから他人を思いやることばが出るようになったり、用具の出し入れを手伝ってくれるようになったりする。この子どもたちの変化が私たち指導者のやりがいになっていることは言うまでもない。そして、今では高校を卒業し就職しても参加しているという教室もあり、ますます指導者たちはそのやりがいを深めている。
 また、ボランティアとして参加してくれた多くの学生が社会人としてなり、発達障がい児の理解者として、よりよい世の中を作ってくれることを願っている。
 今後は、さらにこの活動を近隣アジアに対しても広げていきたいと考えている。

【写真】
「運動が苦手な子の教室」みんなで準備体操



審査委員より

障がいのある子どもたちのスポーツ活動を通して、からだや心、コミュニケーション力などの育成に、長年にわたり大規模な活動を展開してきた。また、ボランティアの育成、障がい理解活動の展開、学校教育との適切な連携、海外との協力など、多様な活動において成果を挙げており、NPOのモデルケースといえる優れた活動である。

プロフィール

千葉県 NPO法人スマイルクラブ(ほうじん)
【創 立】
2000年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
児童・生徒数:約250名(発達障がい児が中心の「運動が苦手な子の教室」の在籍数)
クラス数:14
指導者数:年間約100名(ボランティア含む)