活動内容
目的別に本や資料を読み、読書活動を読むことの中軸にすえ、子どもたちの自己表現につながる国語の授業を目指し、長年にわたり実践研究を継続している。在任校において、平均読書冊数が全国平均を下回る、また、友だちや回りとの人間関係形成力が弱いという実態から、想像する力や自分で考える力、自己表現を行う力を育成することの大切さを実感したからだ。?多様な読書活動と授業を関連させた単元の構想?学習課題を設定し、作品を創作したり発表したりする達成感のある言語活動の重視?友だちや異学年児童、様々な立場の方々との交流等を柱とした授業実践研究を深めている。その過程では、阪神地区や兵庫県の研究大会等において、積極的に授業公開や児童表現などを指導し発表している。なかでも児童表現『エルマーのぼうけん』は、シリーズを読み、文章の叙述の構造を生かしてシナリオに書き換え表現するという、子どもたちの自己表現そのものであった。生き生きと演じる子どもたちの姿は、当時教師に新しい実践として迎えられていた。目的をもって本を読み、表現することの楽しさを実感することは心を豊かにし、学力向上にもつながり、子どもたちが成人してからも人生を切り開く自信となっている。様々な実践研究の成果は、市内外の学校園や教育研究所等における指導助言や講演、執筆活動という形で現場教師の授業力向上に生かされ、授業改善への糸口を与えている。
学校教育部長の職にあるときは、市民を巻き込んだ「子ども読書の街づくり推進事業」に取り組み成果をあげた。
?読解力や読書力の向上を目指し「子どもに読ませたい本400選」「読書ノート」等を作成?就学前・小中学校の読書活動と関連させた授業や保育の研修と推進並びに環境整備?「子ども読書フェスティバル」等のイベントや啓発活動等を実行している。今後は、読書活動の方法が多様に構想され、つけたい力を明確にした言語活動を、各教科等の授業や教育活動で定着させることが課題である。校長として保護者・地域・行政と結び、読書を中核とした学校や組織づくりに全力をあげたい。
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上級生が下級生に本を読み聞かせる「ペア読書」活動
審査委員より
読書活動の取り組みは、具体化が難しいが、教諭時代、教育委員会時代においても、大きな成果を上げている。教諭時代から実践研究に力を入れ、役職や立場が変わっても一貫して実践への結びつきを重視している。研究業績も多い。中教審委員や国の学力調査、さらには学習指導要領作成などの委員を務めるなど、幅広く活躍をしている。
プロフィール
上月 敏子【文部科学大臣奨励賞受賞】