博報賞

活動タイトル

世界共通の言語である楽譜を通した日英共同作業と異文化理解

久留米信愛女学院中学校・高等学校 合唱部

国際文化・多文化共生教育部門|-| キーワード:福岡県

活動内容

私たちの交流活動は2001年、日英交流400周年を記念して英国各地で開催された、日本文化を紹介するイベントの一環として、イングランド南西部のウィルトシャー州で開催された2つの音楽祭に、合唱部門の代表として参加したことから始まった。この時、ホストであったセント・ローレンス・スクールの合唱団との間で、合唱を通じた交流を継続することで一致し、3年後の2004年に同校合唱団が初来日、本校合唱部員宅にホームステイしながら合同で演奏会を開催した。直後に今度は本校合唱部が2度の渡英を果たし、自らがステイさせた生徒宅にホームステイするという相互交流の形が実現した。以降3年に1度、2007年と2010年にも同様の形で交流を実施している。こうした交流の際には、ホームステイしながら、合同遠足でお互いのホームタウン周辺の名所・旧跡をたどって文化・習慣の体験と相互理解を進めるとともに、一つの合唱団として英語・日本語の曲を創りあげ、ことばの壁を越えた合唱・音楽・楽譜という世界共通言語による共同作業を実体験している。毎回のことながら、はじめは疎遠な生徒たちが、合同練習を積むごとにお互いの言語の発音や意味を教え合い、一体感を深めて行く様は感動的である。
 私たちの活動は、一つの街の一つの学校にこだわり、相互交流を深めている。この交流継続の一大要因は、セント・ローレンスのホームタウンであるブラッドフォード・オン・エイボンという英国の一農村が、自然・社会、そして交流の基盤である芸術の環境面でとても優れていること、そこに住む大らかで純朴な人々との生活が、本校生徒の外国観・世界観、ひいては人生観に大きな影響を与えていることがあげられる。交流に参加する多くの生徒にとって初めてのこの異文化体験が、これほど見事に外国に対する垣根を取り去り、視野を広げ、人間的成長さえ約束することは大きな驚きである。現地での親日度の高まりに私たちが一役買っているとすれば、とても喜ばしいことだと思う。

【写真】
合同練習の前に、お互いに教え合いながら発声練習



審査委員より

2001年の本校と英国のセント・ローレンス・スクールとの出会いをきっかけにスタートした実践である。その後、合唱活動を核にして継続的に生徒・教員の双方向への交流が続けられ、ホームステイ、周辺地域への演奏活動の拡大、日本語と英語による合同合唱等の形で、広がりを持つ交流が積み上げられてきた。今後、さらなる展開が期待される特徴的な実践である。

プロフィール

久留米信愛女学院中学校・高等学校 合唱部【文部科学大臣奨励賞受賞】

団体概要

【創立】
1992年

【団体の規模】
児童・生徒数:45名(2010年8月1日現在)
指導者数:4名(本校職員3名・外部指導者