博報賞

活動タイトル

共同作業や自然保護意識を培う40年に亘る『水と砂の造形』活動

岡崎市立矢作中学校

教育活性化部門|| キーワード:愛知県
岡崎市立矢作中学校

活動内容

徳川家康ゆかりの町「岡崎市」の一番西端に位置する本校は、生徒数730人の大規模校で、近くを流れる矢作川とその流域に広がる田園地帯に囲まれている。その自然に恵まれた環境の中で学ぶ生徒は素直で何事にも全力で取り組み、落ち着いた学校生活を送っている。本年度40回目を数える「アースワーク(水と砂の造形)」は伝統ある学校行事のひとつである。『自然に還り、自然に親しみ、自然に挑む』をスローガンに「想像豊かに下絵を描き、陰影をつけて立体的に表現する力を育てる」ために1969年に始まった。毎年5月に行われるこの行事は矢作川の真砂と呼ばれる美しい川砂で作られる「水と砂の造形」である。アースワークは矢作川を国道一号線が横切る付近を選び5・6人のグループごとに取り組んでいる。この場所は交通量が多く、多くの市民に作品を見てもらえる場所であるとともに「川の楽校」に指定されており、広大な砂の川原がある。この活動を通して美術教科としてのレリーフ能力の向上と共にグループで下絵づくりや準備を含めた学級活動を通して「協力の大切さ」を学んでいる。アースワークは前年度から一人ひとりが下絵づくりに取り組み、4月に美術科の授業の中で下絵を模造紙に描いて完成させている。新年度の早い時期にアースワークに向けたグループ活動を行うことにより学級づくりがなされ、「暑い中の作品作りはとても大変でした。1年生のときより早くでき、みんなの協力がよかったです。サボっている人はいなくてみんな真剣に取り組めたと思いました。完成したときはとても達成感がありました。この作品が連休中に地域の人を中心に多くの人たちに見られると思うとやる気が出てきます。アースワークを通して仲間の団結が深まりとても良かったです。」など仲間の団結と「砂の造形」を完成させた達成感が感想として書かれ、仲間づくりと協力する心が育っている。また、アースワーク終了後、使用した川原の美化活動を行い、矢作川の良さを見直すきっかけをつくり、自然環境保護意識の高揚を図っている。

【写真】
完成すると矢作川の川原に77個の砂の造形ができあがる。



審査委員より

地域の川を利用した砂の大芸術を共同的に制作するというダイナミックな教育活動を40年間にわたって全校的な規模で継続的に実践してきた。自然、身体、アートの融合というユニークな造形活動を中学3年間にわたって体験することを通して、生徒たちは自然を愛し環境を保護しようとする態度を自ずと身につけるようになっている。

プロフィール

【創立】
1947年

【団体の規模】
・児童・生徒数:730名
・クラス数:22
・指導者数:41名