40年間にわたる「盆踊り」と「雪祭り」の保存継承活動を通して、生徒に郷土愛と生きる力を育む教育の実践
阿南町立阿南第二中学校
日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード: |長野県活動内容
本校の教育方針である、「知を耕す」、「心を磨く」、「体を鍛える」ことの実現を目指して、470年から700年以上の歴史をもち、国指定重要無形民俗文化財である伝統文化の新野の「盆踊り」や「雪祭り」を1968年より教育課程に位置づけ、地域と連携しながら、全校生徒が40年間にわたり保存継承活動を行ってきた。
生徒数40名のへき地の小規模校で、かつ人口の減少が進み高齢化率50パーセントを超える地域では、地域の活性化の急務と伝統文化の継承者不足の背景から、中学生がその使命を自覚し中心的役割を担い、我がふるさとの文化の継承を誇りと責任感をもって実践してきた。
学校の授業や公民館での芸能教室で年間24回に及ぶ体験活動や歴史の学習で、「すくいさ」や「高い山」をはじめ7つの踊りや笛の吹き方、太鼓のたたき方をマスターし、実際に夏の盆おどりや冬の雪祭りで保存会や地域の方と一緒に踊り、また特別養護老人ホームの訪問を22年間行い、踊りを披露するなど様々な形で展開し、全国や地方の大舞台で披露するまでに成長した。
生徒たちは、活動を通して、文化を尊ぶ心や郷土愛及び奉仕の精神、さらには自分を育ててくれた地域の人々との共生を大切にする豊かな人間性を育んだ結果、地域の環境美化や保全活動へと発展した。それは、37年間継続している「河川清掃」や、PTAや地域住民との共同の「環境整備作業」、また、国の天然記念物に指定された「ハナノキ自生地」の保護育成活動である「紅樹山の下草刈り」の23年の継続活動、さらには55年の歴史をもつ「気象観測」等である。
その結果、昨年、学校の環境整備等を支援する組織「学校協力会」が45名の参加で立ち上がり、本年は学区内の30団体に及ぶ学校支援ボランテイアが結成され、学校・生徒・PTA・地域住民でつくる「新野共育かがやく会」も創設され地域の活性化にも連動をし、地域をあげて子どもを育てる心のネットワークができたのも、長年にわたる生徒たちの地域文化の保存継承活動の成果であるといえる。
【写真】
雪祭りに向け、お囃子の笛を練習する子どもたち
審査委員より
小規模校の利点を生かし、地域に根づく無形民俗文化財「新野の雪祭り」の保存継承活動に、40年近くにわたって地道に取り組んできた。また、伝統文化の保存継承活動を中核に据えて、中学生としての地域でのトータルな活動を充実させ、地域の人々と一体となって豊かな人間性や道徳心、学力の育成に取り組んでいることも高く評価される。
プロフィール
【創立】
1947年
【団体の規模】
・児童・生徒数:40名
・クラス数:3
・指導者数:12名