重度・重複障害児の運動・スポーツ開発とボランティア支援者の育成
HBG重度・重複障害児スポ・レク活動教室「はなまるキッズ」
特別支援教育部門|-| キーワード:障がい種に応じた教材・指導方法・ガイドブックの開発 |広島県活動内容
身体と知的の両方に最重度の障害を有する子どもたちの運動・スポーツを支援する
最重度の障害を有する子どもが家庭や学校以外で「楽しめる場所づくりをしたい」「参加できるスポーツ教室を定着させたい」という思いから、2007年に本団体を設立。最重度の障害を有する子どもたちは「車いすなどから降りて、あぐら座位などのいろいろな姿勢を保持するだけでも運動・スポーツを行っている」という新たな考えをもとに、子どもたちが参加可能な運動・スポーツ種目を自ら開発・実践し、子どもの身体に直接触れて支援できる専門性の高いボランティア支援者の育成を図るため、定期的に毎月1回の運動・スポーツ教室を開催したり、勉強会を行ったりして技術の向上に努めている。
本団体は、子どもたちがベッドや車いすなどから離れてできる運動・スポーツとして、①スクーターボード運動、②トランポリン運動、③マットローラー運動、④スローベンチ椅子ラジオ体操、⑤マット・コロコロ運動、⑥シッティングふわふわ風船バレーボール、⑦プール運動、⑧竹太鼓運動など、8種類の運動・スポーツ種目とその指導方法、用具などを独自に開発。本団体が開催する教室は、通常通う学校や施設・病院とは趣が違う地域で運動・スポーツができる貴重な場となっている。
また、本教室の運動・スポーツ活動は、子どもたちがボランティア支援者から必要に応じて支援を受け、頭を起こしたよい姿勢保持を可能とすることから、子どもの視界を広げると同時に、人や物などへの興味・関心を身体の前面で捉えようと、主体的に注視・追視をしたり、手の操作性が高まったりするなど、コミュニケーションの基礎的な力の育成にもつながっている。
10年間の活動を経て、参加する子どもの登録者数は、設立当初の7倍の約40人に増加。またボランティア支援者も、特別支援学校教諭を中心に、医療・福祉職など多職種の登録者数が、設立当初の12倍の約60人に増加した。2017年4月からは広島文化学園大学の協力を得て活動場所を大学に移し、福祉やスポーツを学ぶ現役の大学生が教室の見学や支援に訪れている。
【写真】
特製台車に背筋を伸ばして座るスクーターボード運動
審査委員より
最重度の障害を有する子どもの運動やスポーツの取組を支援する継続した活動によって、子どもの主体性を重視しながら、周囲への興味・関心を高めようとする貴重な取組である。教育・福祉・医療分野からなる多職種のボランティア支援員が、定期的な勉強会において専門的な支援技術や知識を高めるとともに、保護者やきょうだいが活動に参加する環境作りにも努めている。取組の成果も積極的に公表しており、地域支援活動のモデルとして優れた教育実践である。
プロフィール
広島県 HBG重度・重複障害児スポ・レク活動教室「はなまるキッズ」(エイチビージーじゅうど・ちょうふくしょうがいじすぽ・れくかつどうきょうしつ「はなまるきっず」)
【代表者】
加地 信幸(かぢ のぶゆき)
【役 職】
代表
【創立】
2007年
【勤務校所在地】
〒731-4312広島県安芸郡坂町平成ヶ浜三丁目3番20号(代表者勤務先)
TEL:(082)-884-1001(代表者勤務先) FAX:(082)-884-0600(代表者勤務先)
E-mail:kaji@hbg.ac.jp
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子ども:約40名 ○ボランティア支援者:約60名