博報賞

活動タイトル

外国人児童生徒への学校生活適応・日本語指導のあり方

岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室

国際文化・多文化共生教育部門|-| キーワード:母語育成/母文化教育/アイデンティティ確立愛知県
岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室

活動内容

外国人児童生徒が日本の学校に適応できるように、心の居場所をつくる

 1990年の入管法改正により、ブラジル人を中心とする日系人が急増する中、岩倉市にも日系人が居住するようになった。外国人児童に対する学校生活適応及び日本語指導の必要性が生じ、2001年度から日本語教育適応学級担当教員が配置され、岩倉東小学校に日本語・ポルトガル語適応指導教室(以下、適応指導教室)が開設された。
 当時、外国人に対する差別意識や文化や習慣の違いによる摩擦が表面化し、未就学、不登校児童生徒の話題も聞かれる中で、外国人児童生徒が日本の学校に適応し安定した学校生活を送れることを第一の任務と考えていた。「外国人児童生徒の『心の居場所』とする」との理念をもち、岩倉市内すべての学校に在籍している外国人児童生徒に平等な教育体制を保証すべく、「巡回形式」を導入しての指導がスタートした。
 日本語指導に関する教材・資料は、そのほとんどがスタッフの手作りによるものである。特に、ことばで説明するだけでは理解できない外国人児童生徒に対して、パソコンを利用して視覚に訴えながら日本語の理解を深めていく教材開発に力を注ぎ、子どもたち一人ひとりの日本語力に応じた方法で指導に当たっている。そのノウハウは市の日本語担当教員全員が共有し、同じレベルで指導に当たれるよう、毎週、担当者会など開催して情報交換や研修に努めている。近年、岩倉市以外からもこの研修への参加希望者が増えている。こうした状況に対応すべく、研修会を公開制とした上で、年間計画をホームページで公開するなどして岩倉市外や愛知県外からも自由に参加ができるようにしている。
 縁あって出会った外国人児童生徒が、「日本にいてよかった」と感じ、夢や目標をもって日本で生活していくためにも、学校での適応指導や学習指導、上級学校に向けての進路指導などの取り組みは有効であり、成果をあげている。

【写真】
漢字の成り立ちを学習する児童



審査委員より

2001年の設立以来、「日本一愛のある指導教室」の理念の元、地域特性に即した独自の指導体制を確立し、教材・指導法の開発、指導者研修、母語指導、家庭支援、地域との協働を進め、この分野の範例となる「岩倉方式」を日本全国に発信し続けている。一地域での創意工夫が我が国全体の多文化共生の原動力になるものと評価できる。

プロフィール

愛知県 岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室(いわくらしにほんご・ぽるとがるご てきおうしどうきょうしつ)

【創 立】
2001年

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童・生徒数 : 202名(小学生130名、中学生72名) 
○指導者数 : 15名(日本語適応学級担当教員13名、ブラジル人講師2名)