「博報賞」
過去受賞者の活動紹介

第54回「博報賞」奨励賞受賞
[鹿児島県]中野 八伯(鹿児島大学教育学部 技術専門職員)

学校を畑に!! 〜地域の伝統野菜と食文化を未来へつなぐ活動〜
日本文化・ふるさと共創教育領域

 鹿児島県内の伝統野菜の調査・収集活動をする一方、残存する在来作物とその食文化は 10年後に消滅する危機を訴える。鹿児島県内の希少な在来作物を維持保存し、豊かな食文化を未来へと継承するために、学校教育においてこれらの作物を教材化して、児童生徒が地元への愛着を育むことを目的に活動している。地域の伝統野菜を「知る・育てる・広める・つなぐ」学習過程をパッケージ化して総合的な学習の時間に実施している。これまでに県内各市の小中学校を中心に 10校以上、延べ約 800名の児童生徒が、大学関係者や地域の職員、農家の方、料理人や新聞記者、図書館職員と共に学んでいる。地域の野菜を自分たちが守りぬくという使命感で貫いた学習は、1学期に育てて食べてみよう、2学期に多くの人に広めよう、3学期に次の学年につなげようというテーマのもとで、好奇心からスタートした学びが広く知ってもらうための啓発活動へと続く。栽培して実際に食した経験が広報においては説得性をもつようになり、紙芝居やリーフレット・新聞記事など多様な方法で表現している。栽培に関する十分な知識を与えた学習は、次学年につなぐ学習過程を設定し、豊かな食文化をふるさとの未来に継承するシステムを構築しつつある。

古志大根の収穫(瀬戸内町立篠川小中学校)
古志大根の収穫(瀬戸内町立篠川小中学校)
伊敷長なすの定植(鹿児島市立玉江小学校)
伊敷長なすの定植(鹿児島市立玉江小学校)


※記載の所属・役職は、受賞当時のものです。



博報賞とは

「博報賞」は、児童教育現場の活性化と支援を目的に、財団創立とともにつくられました。日々教育現場で尽力されている学校・団体・教育実践者の「波及効果が期待できる草の根的な活動と貢献」を顕彰しています。また、その成果の共有、地道な活動の継続と拡大の支援も行っています。
※活動領域:国語教育/日本語教育/特別支援教育/日本文化・ふるさと共創教育/国際文化・多文化共生教育 など

その他の活動報告