Vol.93 |
2023.03.15 |
迷いのコトダマ
ひな祭りを迎える頃になると、
大学受験の報告が入ってきます。
第一志望に合格した人、おめでとう。
残念ながら入れなかった人。
くよくよするな。合格した大学が、
ベストな答えなんだ。
大人になって振り返ったとき
「あの4年間が一番充実していた」
と思えるようなキャンパスライフを
送ってください。
と、言える人はまだいい。
受験や就活には、簡単に割り切れない
ことが多々あります。
先日、保護者のお母さんからメールが
ありました。
「娘が、第一志望に落ちました。
第二志望には受かったのですが、
滑り止めとしてしか考えてなかったので、
行きたい学部でもなく、下宿になることも
あって悩んでいます。
見ていると、第一志望への思いが
断ち切れないようです。
浪人させた方がいいでしょうか」
という内容でした。
第一志望は落ちたけれど、
第二志望もかなりの学力がないと
入れない。
ということは、もう少し勉強すれば
第一志望に入れるのではないか。
一年勉強すれば、夢が叶うのではないか。
そんなふうに考える気持ちもよくわかります。
私は、お母さんからのメールを読んで、
ある人の言葉を思い出しました。
シスター渡辺和子
「迷うことができるのも、ひとつの恵み」
そうなんです。
「迷う」ということは、複数の道がある
ということです。
一本しか道がなく、そこに希望がない
というのではなく、どちらにいくか迷う
ことができる。このこと自体、人が考え、
決断し、成長する「恵み」なのでしょう。
これからの人生は、たくさんの決断が
待っている。
受験、留学、中退、就活、転職、結婚、
出産、離婚、怪我や病気と、順風満帆には
進まない道程の中で、「こちらに進もう」
と決める。
人生は、決断の連続なのです。
今、悩んでいる高校生は、人生で初めて
自分で自分の道を選ぶとば口に立っています。
「迷う」という「恵み」を多いに味わって
自分の道を切り開いて欲しいものです。
私は、母親に、
「娘さんが決めるまで、口出しを控えてください」
と書きました。
親がよかれと思ってアドバイスしたことが、
本人の重みになることも多いのです。
知らず知らずのうちに、子どもを自分の
進ませたい方向に誘導してしまうこともあります。
意外にそれが、一生の禍根になることも
多いのです。
迷いの恵みは、親ばなれをして
一本立ちするための力でもあるのです。
お母さんからは、
「いずれの決断を娘がしても、私は
全力で応援します」
という言葉が戻ってきました。
お母さんにも「迷いのコトダマ」が降りてきて
ひとつ成長されたように感じられました。
三寒四温を繰り返し、春はやってきます。
寒さもあたたかさも、花を咲かせる大切な
要素です。
少し霞がかった空を見上げ、
次のステージへと進んでください。
お母さんも私も、周囲のみんなも
あなたの未来を全力で応援しているからね。