活動内容
「選択」と「対話」で学びへのエンゲージメントを高め、自立した学び手を育てる
何をどのように書けばいいのかということは、児童と先生方・保護者の頭を長年にわたって悩ましてきたことだが、受賞者は「わくわく作文塾」を中心に、文章表現指導についての理論知と豊かに蓄えてきた実践知に基づいて、ことばについての児童の「メタ認知能力」を高める手立てをさまざまに工夫した。その工夫が、一人ひとりの頭のなかに文章表現意識を育て、ことばによって生活世界を捉えるものの見方をもたらした。
『書くことが大好きになる! 「選択」と「対話」のある作文指導』(明治図書,2019年)のタイトルにも使われた「選択」と「対話」は、作文を中心とした受賞者の教育活動の特徴を表すものであるが、それにとどまらず、学びの場での協働の思考を育みながら児童のことばと思考を育て、一人ひとりを活かす現代教育の根幹でもある。
「選択」と「対話」を繰り返す営みは、書くことに対する子どもの「エンゲージメント(engagement)」(没頭)を高める。仲間と共に没頭することが書くことへの苦手意識を克服し、流暢な読み書きを可能にし、自立した学び手に育てている。子どもたちの生活する地域に根差し、読み書きに没頭することのできる環境をつくり上げながら営まれた多彩な実践は、言語表現者を育てる質の高い国語教育実践として評価することができる。
【写真】
原国会研修会(令和4年8月実施)の様子から
※鹿児島国語教育研究会 原国会の活動が、地元MBC南日本放送の特別番組として2024年3月28日に放送されました。
(↑クリックいただくと、視聴ページへ進みます)
審査委員より
本研究会の「わくわく作文塾」の営みは、実際に多くの児童の文章表現力を高める支援となった。書きことばについて児童の「メタ認知能力」を高めることで、文章表現意識を育て、ことばによって生活世界を捉えるものの見方を児童にもたらした。また、会の教育活動の中心である「選択と対話」は豊かな文章表現を支える行為であるにとどまらず、学びの場での協働の思考を育み、一人ひとりのことばと思考を豊かにし、自立した学び手を育てる教育の根幹でもある。地域に根差した言語表現者を育てる質の高い国語教育実践として高く評価することができる。
プロフィール
鹿児島国語教育研究会 原国会
【代表者】
原田 義則
【役 職】
鹿児島大学教育学部 准教授
【活動開始時期】
2013年
【団体所在地】
鹿児島県鹿児島市
インスタグラム:
@kagoshima_genkokukai
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:360名(わくわく作文塾参加者:保護者を含む延べ人数)
○指導者:内部160名(小中学校管理職、小中学校教諭、特別支援学校教諭、指導主事、大学准教授、大学生)
○協力者(ボランティア等):鹿児島県教育委員会後援、南日本新聞社後援
○開催ペース:定例会 毎月第3土曜日(約40名)、夏季研修会 1回(約50名)