活動内容
中学校国語科における探究的な学びについての19年間にわたる実践
グローバル化・情報化の進展に伴い自ら課題を発見し、その解決に向けて、主体的に情報とかかわり、他者と情報や成果を交流、共有しながら探究していくことが重要である。そこで、1998年に赴任した前任校から、新聞を活用する指導に重きを置き、「思考力・判断力・表現力」とともに「情報活用能力」の育成をめざす実践を重ねてきた。
「確かなことばの力をもち、生涯にわたって学び続けるひと」を育てることを目標に、教科書教材を中核教材として、多様な学習材を活用し「生きてはたらく確かなことばの力」の育成をめざした単元開発を進めた。学校図書館を「学習・情報センター」として整備、ICT機器の利用、生涯の学びにつながる「学びの手引きEXノート」の活用、「情報活用能力」育成のルーブリックの作成などを行い、3年間を見通したカリキュラムを作成し、「主体的に情報と向き合い、自分の考えをもつ」「情報を他者と共有し、対話を重ねる」ことをカリキュラムの柱として授業を構築した。
3年間というスパンで、第1学年では読み方を習得、第2学年では情報の読み解き、第3学年では「読書過程」を位置づけた。さらに3年時では、自らの課題を解決するための「学び方」、多様な情報の収集・活用・発信の仕方を学び、「自らの問い」に対して継続した情報収集、活用をし、自らの考えを発信する卒業論文(400字詰め原稿用紙20枚)を執筆している。
卒業論文は『卒業論文集』にまとめ、学校図書館に配架。ICTを活用して相互評価し、優れた研究については、文化発表会で学びの成果をプレゼンテーションしている。勤務校において10年以上にわたって卒業論文に継続して取り組んでおり、現在は「アクティブ・ラーナー」を育成することをめざしている。
このような実践のほか、授業で新聞を活用する指導法について模擬授業やワークショップを各地で行っている。「学習・情報センター」としての学校図書館の見学や視察の際にも、新聞を活用した授業づくりや探究的な学習についての研修をしている。
【写真】
グループで協働した俳写の創作活動の取組
審査委員より
「情報活用能力」育成を重視し、NIE教育を中心にしつつも、それだけにとどまらない広汎な実践が高く評価できる。すなわち、NIEの研究をもとにした、情報活用能力育成の系統性のあるカリキュラムの構築(ルーブリックの作成も含む)、学校図書館やICT機器の利用によるアクティブな学びの開発、『学びのてびき EXノート』という冊子や「卒業論文」などのユニークな取組、教科書教材を中核とした単元の開発などが注目される。情報活用能力を重視した国語教育の指導的な実践者といえる。
プロフィール
大阪府 植田 恭子(うえだ きょうこ)
【役 職】
大阪市立昭和中学校 指導教諭
【勤務校所在地】
〒545-0012大阪市阿倍野区桃ヶ池町2-3-17
TEL:(06)-6621-0051 FAX:(06)-6623-5397
E-mail:iwashigumo1192@gmail.com