活動内容
子どもの学ぶ意欲と考える力を育成するため、教育活動の基軸に読書活動をおき、実生活に生きる力となるよう、どの子も自己表現まで高めていく国語科指導方法の開発と実践について、長年研究を続けている。それは、これまでのPISA調査の報告にもあるように「日本の子どもたちの学力の課題は、必要な情報の取り出しはできるが、その関係性や自分の知識や経験と結び付けていく(自分の考えをもつ)こと」について、目の前の子どもたちの切実な課題として実感してきたからだ。
教諭時代の実践の中に、単元「願いの川の実現『今井川せせらぎ緑道』」がある。学校や地域の図書館を活用した川の歴史調べ、本やインターネット・聞き取り等、多様なメディアを用いた読書活動により、子どもたちが自分の考えを確かなことばの力として発信し、人や行政を動かした単元である。
管理職時代には、単元のみならずカリキュラム改善を重視し、"読書は学力"を合言葉にプロジェクトを立ち上げた。【方策1】国語力及び学習の基盤的能力の育成【方策2】語彙力の拡充と思考操作・言語操作の位置付け【方策3】言語環境の整備、"公立のミニ図書館"から"学校の図書館"への改造等、継続して研究発表も重ねる中、参観者からは、子どもたちが司会・進行をしながら自主的に学習を進め、本や資料を活用し学び合い表現する姿に大きな感動の声が寄せられた。また、保護者や地域の参画も充実する中、語彙が豊かで、人間関係を大切にする思いやり溢れる子どもたちが育ち、よい学校へと築き上げている。
指導主事・客員教授時代は、「読解力向上を目指した授業改善」について、学生、若手教員から管理職に至るまで幅広いキャリア層への指導・助言に尽力した。現在も、多くの教職員が授業相談に訪れ、"開かれた校長室"を具現化している。今後の課題は、2012・2013年度「教育課程研究指定校~思考力・判断力・表現力の育成~」(国立教育政策研究所)等を通して、子どもの学力の状況を分析し、多様な読書活動を基盤に、付けた力が次の学習や各教科等、実生活で活用され定着していくようにそのシステム化を図ることである。校長として、保護者や地域、行政、関係機関と協働し、読書活動を核とした学校づくり・組織づくりに全力を尽くしたい。
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白幡小フェスティバルで、絵本を使って交流する子どもたち
審査委員より
読書活動の具体化について、日常的かつ教育課程において、教諭及び指導主事、さらには校長職において一貫して取り組んできた。また、その基盤となる学ぶ意欲や思考力の育成にも留意している。成果を研究業績として発表するとともに、国の学力調査や講師として幅広い活躍をしている。
プロフィール
神奈川県 永池 啓子(ながいけ けいこ)
役 職:横浜市立白幡小学校 校長