活動内容
日本語指導は、どのような生徒になぜ必要なのか。その指導法や体制を模索する中で、田中先生は定住型外国人や海外長期滞在生徒の「やり直し日本語」の問題に取り組まれてきた先駆者的存在です。たとえば問題行動の多い永住生徒は長文が苦手で、他の人の言葉を十分理解できず、また自分自身の言葉で表現することが難しいことが原因の一つであることなどを明らかにし、日常会話だけでなく、語彙力の強化などで自信を着けさせるような日本語指導の重要性を訴えてきました。また、数学や理科の教科書で使う言葉に関しても、日本語指導の観点から、より授業理解を深める指導法を研究・開発されてきました。こういった日本語の指導法は、学力が伸びない一般生徒に対する補講や、養護学校での学習指導にも応用され、成果を上げています。現在も田中先生は、生徒の3~4割を外国関係の生徒がしめる大阪市立南中学校にて、16年にわたる日本語・適応指導の実績を生かした組織作りと指導実践に取り組んでいます。
審査委員より
小学校、中学校における日本語指導の分野において、早くから開拓的な実践研究に取り組み、非母語話者の児童・生徒に対する日本語指導、教科学習の導入に関する研究、日本語力診断のための評価基準やテストの開発などの実績を上げてきた。地域の日本語指導の指導的な役割を担うとともに、JSLカリキュラム開発などにも貢献している。
主な著書・論文・文章など
1993年 指導資料「日本語を学ぶ生徒の教科指導」
1998年 指導資料「日本語指導の点検(指導チェックと指導方法例)」
2003年 教材「テストに出る言葉を学ぼう(数学語彙集)」
2005年 「補習授業校のための日本語力判断基準表及び診断カード」神戸大附属住吉校国際教育センター
2007年 指導資料「南中学校での日本語指導」