『読書体験を深める 読書推せん文ワークショップ 実践ガイド
対話と即興劇で深める「立体的な推せん文」プログラム』/
『ペルソナカード』のダウンロードはこちら
(文末のダウンロードセクションにジャンプ)
文章を書くというだけでなく、他者との対話や即興劇を通して「誰に・何を・どう伝えるか」という読み手(受け手)を意識したプレゼンテーション能力を育むプログラムです。
今回講師を務めたのは、学習環境デザイナーの山内佑輔さん。「今日は思いついたことをすぐに話したり、動きにしたりしてほしい」と呼びかけました。
このプログラムでは、推せん文を「個人の作業」で終わらせず、プレゼンテーションや対話という「他者との関わり」の中に置くことで、自分の考えを整理し、より説得力のある文章表現へ昇華させることを目的としています。
- 場所
- 広めの教室の確保(生徒全員が集まれて、発表までできる場所)
- 服装
- 動きやすいもの
- 持ち物(生徒)
- 筆記用具
- 持ち物(指導者)
- 模造紙、人数分のA4用紙、太めのペン、ペルソナカード、『ももたろう』の本、磁石やテープ(貼り付け用)、ふせん、黒板・ホワイトボードなど磁石やテープで紙を貼れるもの
登場人物の背景理解
まずは輪になって一人一筆ずつ線や点を描き足し、グループでひとつのキャラクターをつくってみます。完成したキャラクターには名前や年齢、出身地などの自由な設定を加えキャラクターそのものに個性を作り上げていきます。
ワークショップ
実施のための
Step01
発想を自由にする
キャラクターへの理解を深める
<実践すること>
- こういうものと決めつけず、自由な絵や設定を作り上げる
- 存在しないキャラクターをゼロから作ることで、先入観などを持たない新たな視点を見つける
物語から
教訓を見つけ出す
3~4人のグループで『ももたろう』を読み込み、その中に含まれている教訓を考えます。ひとつだけでなく、思いつく限り書き出してみて、それぞれの登場人物の立場から物語を見つめなおします。それぞれ書き出した教訓を書いた模造紙を貼り出し、別のグループの出した教訓を見て、印象に残った言葉にしるしをつけたり、自分たちの模造紙に思いついたものを書き足したりします。同じ物語を読んでも、どこに注目するかによって、言葉にする教訓は少しずつ異なります。
ワークショップ
実施のための
Step02
導入
「相手に何かを伝える」という視点をもつ
<実践すること>
- 身近な物語の「教訓」を考え、相手によってどの「教訓」をどう伝えるのが良いかという繋げ方を理解する
- みんなの話をよく聞き、拍手を送ったり、積極的に参加するよう促す
ワークショップ
実施のための
Step03
物語を例に教訓を考える
物語の出来事だけでなく、読み取れる「教訓」をグループで考えてみる
<実践すること>
- 『ももたろう』だけでなく、ほかの登場人物にも着目し教訓を考える
- 同じ物語でも視点を変え、異なる教訓を見つける
- どんな教訓があるか模造紙に書き出していく
ワークショップ
実施のための
Step04
教訓をまとめる
仲間が感じたことも踏まえてまとめる
<実践すること>
- 他のグループの教訓も観て、一番良いと思った教訓を紙に書きホワイトボードに貼り出す(黒板でも可)
自分の経験と物語の教訓を
結びつけ、悩みを持つ
「誰か」に教訓を届ける
先に書き出した教訓の中から、一番良いと思った教訓をふせんに書き、全員が張り出します。そのうえで、「この教訓を、誰に届けるか」を考えるために、ペルソナカードというツールを使用します。
ペルソナカードには、中学3年生の架空の人物の性格や悩みが描かれており、その相手に『ももたろう』の教訓を伝えるため、どんな言葉を届けるかを考えます。
教訓を届ける方法として、「即興劇」を用い、ペルソナカードの人物を主人公にし、助言をする友人1人という設定で、短い劇を2人で行います。「届ける・伝える」という重要性に気づき、考えてもらうきっかけとなり、推せん文の誰に何を伝えるのかという深掘りになります。
ワークショップ
実施のための
Step05
ペルソナカード
「誰に伝えるか」を意識し、相手に合わせて伝える内容を考える
<実践すること>
- 選んだペルソナカードの相手を理解する(どんなことに興味をもつか、どんな言葉なら伝わるか等)
- 『ももたろう』の教訓を、相手のことを考えてどんな言葉や例なら伝わるかを考える
ワークショップ
実施のための
Step06
即興劇の発表
「誰に・何を・なぜ伝えるのか」を整理し、グループごとに考えを発表する
<実践すること>
- グループで代表2名を選び、発表を行う
- 発表は即興劇(またはプレゼンテーション)
- ①どんな教訓を見つけたか②誰に伝えたいか③その相手にどう伝えるかを意識する
- 自分たちの経験も混ぜるとより説得力を増す内容になるので挑戦を
- 誰に、どんな教訓を、どのように伝えるのかが分かるように発表する
- 発表を聞く側は、相手に合わせてどんな言葉や例、伝え方を工夫しているかしっかり捉える
「誰に」「何を」
「どうやって伝えるのか」を
追求する
今回のプログラムは本から受け取った価値を見つけ、それを届けたい相手を思い浮かべ、相手に伝わる言葉や表現を考えるというものです。
身近な昔話を出発点に、「何を伝えるか」だけでなく、「誰に、どうやって伝えるのか」へと思いを巡らせたことは、どんな言葉で伝えたら届くかを考えて書く読書推せん文と同じ構成となります。また、「読み手を意識させる」ために、友達同士で紹介し合う・アドバイスし合う時間を意図的に設けることで、文章の客観性・説得力が飛躍的に向上します。
「本を紹介する文章」だけでなく、本から得た価値を、必要としている誰かへ届けるものとして捉えなおすプログラムをぜひ取り組んでみましょう。
指導効果(実施校アンケートより)
【生徒】
-
ワークショップは楽しかった
個別回答「みんな発想力が豊かで楽しかった」「アイディアを出し合ったりして楽しかった」「たくさん意見交換することができて楽しかった」「ゲームやみんなで考える時間が沢山あって、とても楽しかった」
-
講師の説明や進め方がわかりやすかった
個別回答「紙でわかりやすく説明してくださったり、実際にやってもらったりしてどれもわかりやすかった」「一人ひとりの目を見て説明してくださり、とても楽しかった」「今から何をすればいいかがすぐに理解できて、たくさん考えることができました」
-
ワークショップが自分のためになった
個別回答「本から教訓得ることで色々なことを知れることを知った」「素直に自分の考えを言うことが大切だとわかった」
-
相手に気持ちを伝えることや、言葉を選ぶことの「面白さ」「難しさ」に気づいた
個別回答「熟考するのも大事ですが思いつきがそれと同じぐらい大事」「ももたろうに教訓があることを考えたこともなかったし、一つの教訓ではなく、いくつも教訓があり、深い話だと知りました」「似ている言葉でも、使い方によって意味が変わる」「他人の意見を取り入れることの重要さに気づけました」「相手に気持ちを伝えることは大変だなと思いました」
【指導者】
-
本当の意味での伝えるということがどういうことかを考えるのにとても良い学びでした。進路を目前に控えた生徒たちにとってこれから自分を表現していくためにも大きな学びになった
-
題材が馴染みあるものだったこともあり、考えやすくほとんどの生徒が関心をもって取り組んでいたと思います。日頃から話し合いは活発な生徒たちでしたが、自分の意見をグループにしっかり伝える姿、友達の意見を受け止める姿、山内先生のお話を聴き、自分から学ぼうという姿勢を感じました
-
おもしろい教材だと感じました。教科書は堅苦しく、形式ばった教材がほとんどですが、今回の教材は、生徒の思いつきも生かされ、何より取りかかりやすかったこと、またしっかり考える、熟考する問いかけのメリハリがあったところで生徒がぐっと教材に引き込まれた感じがしました
下関市立豊北中学校ワークショップ実施後アンケートより一部抜粋




