Vol.57 |
2020.08.24 |
リモートのコトダマ
今年就活を行っている
大学4年生たちと定期的にリモートで
連絡をとりあっています。
講義も就活もすべてリモートになった
彼女たち。
わかりやすいリモート講義の特長
をはじめ、平均何分くらいで集中力が
切れるかなど、感じたことや困っていることを
あれこれ話してくれます。
初めて彼女たちとリモートで話したのは
ゴールデンウィークでした。
そこから2回、3回と重ねるごとに
彼女たちの見映えや話し方は、驚くほど
進化と遂げていきました。
就活セミナーで学び、仲間同士で
チェックしているそうです。
「ひきたさん、モニターに
顔だけ映してちゃダメです。
胸から上くらいまでを入れて、
手もつかってアピールする。
就活面接のコツです」
何も考えずにスマホやタブレットに
向かうと顔が大きく映ります。
しかし、顔の表情で伝わる情報は
意外に少ないそうです。
大きくうなずいたり、手ぶり身ぶりで
表情をつけることで格段と伝わるように
なると教えてくれました。
しかも、背景がスタジオの
ようにシンプルできれい。
確か、この学生は下宿生で
そんなに広い部屋ではないはずなんだが・・・
と思っていたら、
「今、玄関に椅子の上に
小さな脚立を乗せて座っています。
パソコンは、段ボールを3つ重ねた
上です。背景に何も映り込まない
場所はここしかないんです」
と涙ぐましい努力をしています。
「よく、下はジャージで上だけ
スーツで面接しているなんて話を
聞きます。でも、私はダメ。
自室での面接でも、頭を切り替える
ためにちゃんとスーツを着ています」
直接会うことができなくなって4ヶ月。
その間にみんなしっかり成長している。
陽気な学生の顔が少ししまって
社会人の色合いが少しずつ混じって
きているようです。
過去にない講義と就活で、学生たちは
右往左往。孤独と戦いながら、部屋の
中の撮影ポイントを探し、モニターに
むかって就活の練習に励んでいる。
彼女たちは今、何もかもが「遠隔」になって
しまった時代に応える「リモートのコトダマ」
を一生懸命探しているのです。
彼女たちの言葉を聞いて、私もモニターに
映るサイズを気にするようになりました。
手ぶり、身ぶりを大きくしてしゃべると、
少々飽きてきたリモートワークが、
ほんの少し、楽しくなりました。