Vol.22 |
2019.02.12 |
お褒めのコトダマ
子どもを褒めるって、
とっても難しい!
作文教室で、
いいものを書いてきた子に、
「うん!よくできてる。
頭いいなぁ」
なんて褒めると、
次は必ずつまらないものを
書いてきます。
彼の頭の中には、
「頭がいい」
という言葉だけが残っている。
そのせいで、妙に大人ぶった、
こまっしゃくれた文章を書いてきます。
別の子に、
「すばらしい。よくがんばったねぇ」
と言う。
多くの子どもは、「がんばった」くらいでは
褒められたうちに入らない。
しかし、その中でもむやみにがんばる子が
出てきます。
次の回の作文は、400字詰め2枚と
決めているのに3枚半くらい書いてくる。
彼の頭には、
「がんばった」
という言葉が色濃く残っているのです。
子どもに投げかける言葉は、
白いキャンパスに初めて文字を書くようなもの。
「頭がいい」
という言葉を聞いて彼は、
「あ、僕は頭がいいんだ。じゃ、次は
もっと頭のいいところをみせよう」
という気になる。
「頭がいい」「かしこい」と言い続けていると、
「頭の悪い自分」「間違う私」を見せることが
嫌になり、解く問題のレベルを下げてしまう
子どももいます。
どうやって子どもを褒めればいいでしょう。
試行錯誤の結果、私が編み出した方法は、
「なるほど」
と言って大きくうなづくこと。
あなたの文章には、大いに納得出来る
部分があった。
と、うまい下手と評価を下す前に、
受容したことを褒める。
子どもはこの時点でなお、
「褒められるのか、けなされるのか」を
心配しています。
そこで次にかける言葉は、
「すごいね!」
「なるほど」で受容し、「すごいね」と
賞賛する。
子どもの顔がパッと明るくなったところで、
何が、どうすごいのかを
具体的に指摘していきます。
「お父さんとおばあちゃんの会話文が
ちゃんとその人だとわかるように書けている。
ここがすごいね」
「この部分の情景描写だけど、ちゃんと
読む人の視点を考えている。ここがすごいね」
という具合。
人の文章の悪いところを見つけて
けなすなんて、素人でもできる。
プロの教師は、瞬時によいポイントを見つけ、
具体的に褒める言葉を考えなければいけません。
具体的に褒めると、子どもの頭には、
「会話文」や「情景描写」という言葉が
残る。
次に作文を書かせると、明らかに進歩した
「会話文」や「情景描写」を彼らは
書いてきます。
褒めるって、難しい。
なぜならそれは、「評価」ではなく、
その子どもに伸ばしてほしい才能に気付かせる
ことだから。
教育改革が進む中、読解力や表現力が
ますます重要になる時代。
これを推し進めるためには、大人たちの
「お褒めのコトダマ」に磨きをかけることが
とても大切。
子どもの真っ白い頭に、どんな一言を
投げかけたらこの子が生き生きとするか。
常にそういう頭をもった大人でいたいと
思うのです。