Vol.117 |
2025.03.17 |
「読解力」のコトダマ
本の読み方に、「通読」「精読」「味読」があると 教わったのは、中学受験をしているときでした。
国語は、どのような勉強をすれば成績があがるのか わからない。それを塾の講師に言うと、
「学校の授業を考えてごらん。はじめに、クラスの みんなで代わる代わる声を出して、話の最後まで 読むよね。これが通読。細かい意味は考えずに、 「あー、こんな感じの話なのね」とわかればいい。
次に先生が、一行一行を詳しく説明していくよね。
「主人公は、どんな気持ちでこの一言を吐いたのだろう」
「この情景描写には、どんな意味が込められているのか」
なんてね。
こうして詳しく読み込むのが「精読」。
最後に、先生の解説やみんなの討論を終えたあとに、 もう一度始めから読んでみる。すると、最初はわからなかった 部分がよくわかって味わい深くなる。これを「味読」という んだ。」
通読、精読、味読。
教科書の文章、または薄い本で構わないので、意識して3回 繰り返して読む。先生は、
「読書は、何冊読んだかよりも、同じ本を何回読んだか、 の方が大事」
とも言われました。
当時、私のクラスでは、一年間に読んだ本を記録して発表することに
なっていました。自ずとみんな、読んだ本の「数」を競うように
なっていました。私も、早く読んで、他の人よりも一冊でも多い記録を
作ることを目標にしていました。
しかし、それでは国語の力はつかない。一冊をていねいに「通読」「精読」
「味読」すること。そう考えて、教科書に載っている文章を丁寧に読むよう
心がけるようになったのです。
短い文章で「通読」「精読」「味読」を繰り返す。
続けているうちに、入試に出る試験問題が、すっと頭に入る
感覚がありました。斜め読みすることが減ってきたのです。国語の成績が
少し上向いてきたところで、塾の先生が、次のコツを教えてくれたのです。
「『小声読み』をするといい。つぶやくような感じで、文章を声に出すんだ。 自分自身に読み聞かせるように読んでごらん」
言われるままに、試してみました。黙読ではわからない。文章のリズムとか、 登場人物の性格が会話で書き分けられていることがわかってきました。
「『小声読み』のスピードを上げていく。『早口読み』に変えていきなさい。 早口で文章を追えるようになってから「黙読」すると、前より理解が深まって いるのに驚くはず」
と言ってにっこりされました。
私が大学で、文章を教えるまでになれたのは、この塾の先生が教えてくれた「通読」「精読」「味読」と「小声読み」、「早口読み」のおかげです。
これらの全てに「読解力のコトダマ」が詰まっていると確信しています。
ぜひ、みなさんも、薄い本を、3回読んでください。その際、小声で ブツブツつぶやきながら読んでいく。だんだんと、早口で読んでもわかる ように心がけましょう。
すべての教科の源は、読解力です。
効果的な読書で、その力を身につけてください。
一生の宝物になるはずですよ。