博報賞

活動タイトル

学校を畑に!! ~地域の伝統野菜と食文化を未来へつなぐ活動~

中野 八伯 (鹿児島大学教育学部 技術専門職員)

日本文化・ふるさと共創教育|奨励賞| キーワード:鹿児島県
中野 八伯 (鹿児島大学教育学部 技術専門職員)

活動内容

県内の「生きた文化財」である伝統野菜を教材として広めるプロジェクト

鹿児島県内の伝統野菜の調査・収集活動をする一方、残存する在来作物とその食文化は10年後に消滅する危機を訴える。鹿児島県内の希少な在来作物を維持保存し、豊かな食文化を未来へと継承するために、学校教育においてこれらの作物を教材化して、児童生徒が地元への愛着を育むことを目的に活動している。地域の伝統野菜を「知る・育てる・広める・つなぐ」学習過程をパッケージ化して総合的な学習の時間に実施している。これまでに県内各市の小中学校を中心に10校以上、延べ約800名の児童生徒が、大学関係者や地域の職員、農家の方、料理人や新聞記者、図書館職員と共に学んでいる。地域の野菜を自分たちが守りぬくという使命感で貫いた学習は、1学期に育てて食べてみよう、2学期に多くの人に広めよう、3学期に次の学年につなげようというテーマのもとで、好奇心からスタートした学びが広く知ってもらうための啓発活動へと続く。栽培して実際に食した経験が広報においては説得性をもつようになり、紙芝居やリーフレット・新聞記事など多様な方法で表現している。栽培に関する十分な知識を与えた学習は、次学年につなぐ学習過程を設定し、豊かな食文化をふるさとの未来に継承するシステムを構築しつつある。
【写真】
古志大根の収穫

審査委員より

鹿児島の伝統野菜を絶えることなく引き継ごうとする危機感から始まったプロジェクトは、学校教育において郷土愛と伝統的な農作物の栽培、そして継承という活動に見事につながっている。栽培や収穫、調理などの他に、メディアを上手に活用した広報活動にも力を入れている。遺伝資源である種や苗によって生きた文化財をつなぐ学習過程もしっかりと設定している。活動開始から日が浅いため、環境教育や食育など多様なテーマとの関連性を図りながら実践を続けてほしいと願っている。

プロフィール

中野 八伯

【所属先役職】
鹿児島大学教育学部 技術専門職員

【活動開始時期】
2020年

【団体所在地】
鹿児島県鹿児島市

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体895名(小学生相当825名、中学生相当25名、高校生23名、短大生22名)
○指導者:内部39名、外部23名
○協力者(ボランティア等):18名
○開催ペースやクラス数:開催ペースは学校で実践する作物ごとに異なる、クラス数22