「伝統文化をつなぐ、ふるさとの絆をつなぐ」地域と共にある学校づくり
御船町立七滝中央小学校
日本文化・ふるさと共創教育部門|博報賞| キーワード:邦楽/和楽器少子高齢化/人口減少/地方創生 |熊本県活動内容
学校が核となり、子どもたちの力で実現する地域コミュニティの再生と活性化
七滝中央小学校は2007年度、5校の統廃合によって開校した。御船町の総面積の51%を占めるほどの広範な校区となったため、地域コミュニティは消滅の危機に瀕し、地域への愛着も薄れてしまっていた。その現状を打開するため、旧小学校や旧校区で引き継がれてきた伝統芸能を継承し、地域へ発信する取り組みが始まった。
総合的な学習の時間や道徳の時間に、地域の方をゲストティーチャーに迎え、由来や先人の思いなども含め、伝統芸能の学習を進めている。3年生は獅子舞、4年生は寅舞、5、6年生は2種類の太鼓について学んでいく。児童は習得した伝統芸能を、校内行事だけでなく地域の祭りや式典にも積極的に出向き、年間10回程度披露している。こうした活動は、明確な目的意識や相手意識を持って活動に取り組むことにつながり、子どもたちの意欲の向上も見られるようになった。また、身につけた技能を上級生が下級生に伝承する活動を重視しているため、継承への責任感や高い意識も育まれている。
児童と校区住民の双方向を意識した実践は、児童の郷土愛を育むと同時に、学校と地域との距離を縮め、多くの方が学習支援に来校する契機ともなり、双方の活性化につながっている。
【写真】
七滝公民館祭で5年生が能寛太鼓を披露している様子
審査委員より
学校の統廃合で地域コミュニティの形成・活性化の重要性が認識される中、校区に伝わる伝統芸能を教育実践の核とした意義は大きい。道徳の時間、総合的な学習の時間に、地域の方から伝統芸能の歴史を学び、各学年の活動を展開したことが児童の内面の成長、主体性の喚起につながった。学校行事、地域の祭りで獅子舞、太鼓等の披露の場があり、明確な目的意識を生んでいる。児童の地域行事への参加意識、ふるさとを大切にする心情等の数値が高くなり、併せて全校区から学校を応援する地域の人が増える成果を生み、学校が文化の中心となるモデルケースである。
プロフィール
御船町立七滝中央小学校
【代表者】
大竹 紳一郎
【役 職】
校長
【活動開始時期】
2006年
【団体所在地】
熊本県上益城郡御船町
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:77名 ○クラス数:8クラス ○指導者数:18名