博報賞

活動タイトル

共生社会の形成に貢献する「交流及び共同学習」の実践

京都府立八幡支援学校

特別支援教育部門|-| キーワード:障がい理解推進/心のバリアフリー京都府
京都府立八幡支援学校

活動内容

高等学校と特別支援学校が同一敷地内に設置された利点を生かして相互理解を図り、共生社会の実現を目指す

 2010年、小、中、高等部の3学部を設置する特別支援学校として、全国で初めて高等学校と同一敷地内に開設された。その立地条件を生かし、すべての学部が高等学校との交流及び共同学習を通して相互理解に取り組んでいる。「共生社会、ユニバーサル社会の理念を体得する」「学校生活を通して、互いを理解し共感を広げる」ということを両校で柱とし、実践を進めている。
 児童・生徒の実際の交流活動は、①昼休み交流②授業交流③行事交流の3つの形態で行われている。①高校生が昼休みに特別支援学校を訪れ、昼食やその後の活動を一緒に行う、日常的、主体的な交流。各クラスに入る高校生をできる限り固定することで、時間の経過と共に深まりを見せている。児童は苦手なことへの挑戦するきっかけになり、高校生は自分を解放してリラックスできる時間になり、お互いに大変有効な取り組みとなっている。②両校の施設を使い共に授業を行う交流及び共同学習で、年間2〜3回実施している。劇遊びや日頃の授業を一緒に取り組む、陶工や染色、木工等の作業学習などを学部ごとに取り組むなど方法は様々であるが、交流学習から共同学習へと少しずつ進んできている。③「たけまつり」(文化的行事)や高校の体育祭、文化祭、対面式など、両校の行事を通し双方に意義のある交流を深めている。文化祭では、本年度から高等部の生徒による作業学習の実演なども計画しており、本校の生徒の学習を地域へ発信していく貴重な機会を設定している。
 本校教員が高校生へ交流にあたっての心構えや、障害理解についての学習を行う取り組みも進めており、将来地域で生きていくにあたり、お互いの理解を深める大きな気づきだと考えている。交流学習から共同学習へ、さらに両校間の教育実践にとどまらず地域へと発信できるようにつなげていきたい。

【写真】
昼ご飯を一緒に食べたり、食後に遊んだりする昼休み交流(中等部)



審査委員より

特別支援学校のセンター的機能という新たな機能の発揮に向けた先進的な取り組みに、いち早く着手し、隣接する高等学校とのさまざまな交流を重ねてきており、2010年開校とはいえ、既に貴重な成果を挙げている。今後のインクルーシブ教育の推進に向けて、全国に1,000校ある特別支援学校にとって、一つのよい参考例となるだろう。

プロフィール

京都府立八幡支援学校(きょうとふりつやわたしえんがっこう)

【創 立】
2010年

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童・生徒数 : 129名 ○クラス数 : 26 ○指導者数 : 114名