首羅山遺跡学習による地域を愛する心の育成
久山町立山田小学校 ・ 久山町立久原小学校
日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード:文化財/史跡/遺跡/歴史遺産「総合的な学習の時間」で探究する取組 |福岡県活動内容
「本物体験」を重視し、たんなる歴史学習ではなく「遺跡を守る心」の学習へと発展させた。
2005年度に発見された中世山林寺院跡首羅山遺跡は町内において初の学術調査であり、様々な発見が相次いだ。
さらに、町内には九州一の10万枚の出土量を誇る古銭出土地などがあったが、町民をはじめ一般には遺跡の内容は知られていない状況が続いていた。
2008年度、地域の歴史素材に着目し、久原小学校6年生が首羅山遺跡授業開始。2009年度、初めての現地での遺跡授業。本物体験は卒業制作「わたしたちの首羅山遺跡」の壁画に結実した。2010年度、遺跡授業に加えて本谷地区から出土した瓦の拓本作成を行った。2011年度、遺跡授業は年間30時間になり、新たに西谷地区の見学も取り入れ、卒業制作ではステンドグラスを作成した。2012年度、山田小学校でも首羅山遺跡の授業が始まり、山田・久原合同学習が開始され、二校が交流する最中に年度内に国指定遺跡になることが決まった。そこで「首羅山サミット」を企画し、町民を招いてシンポジウムと各学校の発表を行い、最後には両校で久原小学校児童作詞による「首羅山いつまでも」の合唱となった。
2013年度、国史跡指定を記念して映画製作を行うこととなり、教育委員会と学校との協議によって合唱曲「首羅山いつまでも」をテーマ曲とし、子どもたちの映像を多く取入れた内容とすることにした。ナレーションも子どもたちが担当、町内各公民館で出前上映会を行い、地域住民600人(全人口の8%)を動員し、報道にも取りあげられた。さらに秋には国史跡指定記念イベント「首羅山遺跡の現在と未来」開催。首羅山の学習はもちろん、合唱の練習や創作活動等、町内の小中学校の全児童・生徒がひとつの目的に向かっていった。またシンポジウムでは町長や小中学生、町民とともに討論を行い、首羅山遺跡の夢を語った。
このイベントには地域住民2000人(全人口の25%)が参加した。
【写真】
首羅山遺跡での久原・山田両小学校合同の授業
審査委員より
地域と一体となって展開される素晴らしい教育実践である。しかも、それが子どもたちの受動的な学びに止まらず、総合的な学習の取組の模範となる、主体的な探究型調査活動へと深化、発展している。その結果として、郷土を愛する心を伝えていくことを使命とする、子どもたちの「自らの生き方」に迫る教育実践となっている点が高く評価される。
プロフィール
福岡県 久山町立山田小学校(ひさやまちょうりつやまだしょうがっこう)・久山町立久原小学校(ひさやまちょうりつくばらしょうがっこう)
【創 立】
1873年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 31名(山田小学校6年生) 31名(久原小学校6年生)
○クラス数 : 1(山田小学校) 1(久原小学校) ○指導者数 : 2名(久原小学校) 1名(山田小学校)