活動内容
仲間、地域の方々、家族と全体的な関係性を築くことで「根ざす」ことを体得し、「はばたく」ことを求めていく。
西濃学園は不登校の子どもたちの社会的自立を総合的統合的に支援している私立の中学校である。その背景に違いはあるが、不登校の子どもたちには社会性が未熟で、対人関係において自己中心性が強く、衝動性をコントロールすることが困難で、マイペースで柔軟性が乏しいといった状態像が共通するので、どの活動においても導入・継続・達成・フィードバックから次の活動につなげていくために様々な試行錯誤や工夫が必要となる。
2010年以来続けている夏山登山では、北アルプスに3泊4日の合宿を実施している。当学園ではこれを修学旅行と位置づけており、途中で仲間に励まされたり、逆に仲間を励ましたり、自分自身を叱咤激励して頂上を目指すことで大きな自信を持つことができるようになり、人にとって最も大切な感動と達成感、仲間との絆を身体で学ぶことを実践できる。
地域学習は「西濃祭」として位置づけられ、地域に根ざした学校となるために毎年テーマを決めて地域に入り込んで学習をしている。2014年は「藤橋の生活と文化」というテーマで、お寺を中心とする村の行事、村の人たちが自身で作った用水路、村の祭りの昔と今について取材をし、発表する。この西濃祭も夏山登山も、将来子どもたちが積極的に社会参加できるよう、子どもたちで実行委員会を作り活動している。
地域の行事にも積極的に参加し、草刈り、川の掃除、雪かき、地域の文化祭や運動会などで地域の方々と日々触れ合うことで、お年寄りを敬うこと、そして助けたり協力したり感謝される喜びを体験している。また、手話、戦争体験、盲導犬センター、留学生など学園外の方を招き、様々な体験談に触れる機会を設けたり、岐阜市内の店で職場体験をしたり、近隣の保育園や中学校と交流し、社会や人生に前向きに興味を持つ効果につなげている。自信をつけ始めた子どもたちは、あたたかく肯定的なまなざしで見守るうちに、自身の力を十分に発揮し、自分に希望をもって自分らしく羽ばたいていく。
【写真】
毎年8月実施の北アルプス夏山登山
審査委員より
不登校の中学生の社会的自立を目指した地道な取組を行っている。特に、地域の特色を活かし、地域とのつながりを大切にしたプログラムを展開している。教育の成果の一つとして、生徒の進学先の高等学校は、全国に広がっている。また、英検合格者を多数出していることも注目したい点である。
プロフィール
岐阜県 学校法人西濃学園 西濃学園中学校(がっこうほうじんせいのうがくえん せいのうがくえんちゅうがっこう)
【創 立】
2008年12月16日
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 20名 ○クラス数 : 3 ○指導者数 : 19名