活動内容
本校は、キャリア教育の視点からカリキュラム改善に努めている。総合的な学習の時間と道徳、特別活動を有機的に統合したカリキュラムでは、啓発的な体験活動を重視している。
1年生における、近隣の高等学校や小学校と連携した模擬店舗経営「Rikka」の活動は、小学生、中学生、高校生、大学生が地域の活性化という思いを共有し、商品の企画・販売・流通を実際の店舗経営を通じて体験するものである。校種ごとに役割があり、本校の1年生は、商品開発や販売、広報などの活動を中心に行っている。夏休み期間中の店舗の開店までに、高校生から接客マナーを学んだり、地元商店街の人々からいろいろな助言をいただいたりすることは、生徒にとって貴重な体験となっている。活動終了時の生徒の達成感が高いのは、自主性や主体性を尊重した取組の成果といえる。1年生で自らの役割を通じて集団に貢献することの大切さを学ぶことが、その後の生徒会活動や部活動に、自らのよさを生かしながら取り組む基盤となっている。
また、地域交流活動カリキュラムでは、生徒と地域の人との関わりの場を重視し、学校、家庭、地域の融合を目指している。特に、地域住民が主宰する生徒有志による演劇集団「スタートライン」の公演は、学校・地域が協働で生徒のキャリア発達を支援するものとして意義深い。この活動は、かつて上越市で起きたいじめ自殺事件をきっかけに、演劇の経験がある地域住民が、生徒の健全育成を目指して1996年に始めたものである。毎年3年生の希望者が集い、地域住民の指導を受けながら、命や友情、郷土愛などをテーマに、秋の公演を目指し、夏休みから稽古を重ねていく。公演当日は全校生徒と中学校区の小学校6年生全員で鑑賞する。また、公演終了後、「子どもフォーラム」を行い、劇のメッセージを基に、児童生徒が身近な問題について意見交換を行う。地域住民と教職員の支援の下、児童生徒の自他を大切にし、ふるさとを愛する心を育む取組となっている。
【写真】
店舗内で地域の人を相手に商品を販売する生徒
審査委員より
夢や目標をもってよりよい生き方を追求できるようにという願いをもとに、「模擬店経営」「演劇」といったアイディアが豊かで地域に根ざした教育活動のネットワークが発展的に展開している。とりわけ、地域の活性化への思い、いじめ根絶への思いなど、人としての願いや希望が根底となっている点に着目したい。
プロフィール
新潟県 上越市立城北中学校(じょうえつしりつじょうほくちゅうがっこう)
【創 立】
1959年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
児童・生徒数:513名
クラス数:20
指導者数:41名