博報賞

活動タイトル

子どもの笑顔があふれる教室
~〈漫才〉を音読する国語の実践を通して~

樋口 大輔(新潟市立浜浦小学校 教諭)

国語教育|奨励賞| キーワード:新潟県
樋口 大輔(新潟市立浜浦小学校 教諭)

活動内容

互いに認め合う温かい雰囲気と子どもたちの主体的な学びを引き出す〈漫才〉の音読

 樋口大輔氏の「子どもの笑顔があふれる教室 ~〈漫才〉を音読する国語の実践を通して~」は、子どもたちの表現力とコミュニケーション能力の育成を目的として、朝学習の15分間を使って継続的に行われている実践である。
 この実践で最も特徴的なのは、これまで国語科教科書等で扱われてこなかった漫才に着目している点である。樋口氏が用意した漫才の台本をクラスの二人がコンビを組んで一緒に音読するという、小学校国語科学習指導要領の音読の指導事項に該当する言語活動であるが、漫才という笑いを前提とした台本の音読であることから、台本の内容から生じる面白さだけでなく、読み間違いも楽しむ雰囲気が醸成され、子どもたちが間違えることに萎縮せず、意欲的に活動することにつながっている。また、意欲的に取り組む姿勢は、聞き手であるクラスの友達に合わせて台本の内容を変更したり、子どもたちが発案企画し、児童会祭りで漫才や音読劇を発表したりなど、主体的な学びの実現をもたらしている。
 コンビを固定せずに毎回相手を代えることで、多くの友達と笑いや楽しさを共有し、共に学び合う温かい学級の雰囲気がつくられている。また、児童会祭りでの発表は児童会の自主的な活動へと発展し、笑顔のあふれる温かい雰囲気が学校全体へと広がりを見せている。

【写真】
<漫才>を笑顔で音読するコンビの様子

審査委員より

 漫才に着目することで、音読に関する実践にとどまらず、子どもたちが間違いに萎縮せず互いに認め合い学び合う、温かい学級の雰囲気づくりにも寄与する実践となっている点が評価できる。その成果は、失敗を恐れず挑戦する気持ちや自己肯定感に関する調査結果が、全国平均と大きく差を広げて高いことにも表れている。音読に関しても、聞き手を想定して内容を吟味しながらノンバーバルも含めて工夫するなど、子どもたちの学びにつながっている。さまざまなことばの学びにつながる可能性のある実践を、さらに深め進められることを期待したい。

プロフィール

樋口 大輔

【所属先役職】
新潟市立浜浦小学校 教諭

【活動開始時期】
2019年

【所在地】
新潟県新潟市

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体30名(内訳)小学生30名
○指導者:内部1名
○開催ペースやクラス数:新年度の始まりの1~2か月(4~5月)と、夏休み明け2~3週間(8~9月)に、担任学級にて活動