博報賞

活動タイトル

山間地に輝く子ども落語家 地域の誇り「高尾小にこにこ寄席」

奥出雲町立高尾小学校

日本文化・ふるさと共創教育|博報賞| キーワード:島根県
奥出雲町立高尾小学校

活動内容

座布団一枚からの挑戦‐極小規模校の話芸「落語」を通した意欲的な児童の育成

2013年4月から総合的な学習の時間に、日本の伝統文化の一つである話芸「落語」を導入した。落語は音声と身体で表現をするもので、表現を目的とした活動である。児童は解釈のため落語を深く読み込むことになる。落語は読解力や表現力を育成する良質な教材である。
 本校は、全校児童数5名の極小規模校であり、多様な出会いからの刺激を受ける機会が少ない。内向きな性格の児童が多い中で、これからの社会と児童が広く関わり、さらに積極的になってほしい。そこで児童一人でも活動できる題材として「落語」が突破口になると考えた。教育課程において特別活動における児童会活動(クラブ)や学校行事(遠足・文化的行事)に位置づけ、教育課程外においてもPTA落語部に協力を得 て、休日の寄席を催した。
落語・寄席活動により、児童はお客さんが自分の話で笑ったり泣いたりする姿に正対することになる。お客さんの立場に立って寄席づくりをする。古典落語に登場する気のいい人の精神状態を理解し、お客さんにわかるように伝えるにはどのように表現すればよいのかを考える。
最高の指導者は「にこにこ寄席」に足を運ぶ地域の人々である。地域が児童を育てる教育環境が自ずと厚くなっていき、地域会合の活性化にも一役買う結果につながった。

【写真】
笑いと健康寄席を10年。170回公演を数える

審査委員より

「落語学習展開ウェブマップ」が示しているように、寄席の運営や高齢者との交流、メディアへの対応などの子どもが自主的に進める学びがイメージ通りに広がりを見せている。日本の伝統文化である話芸を、特別活動や総合的な学習の時間を中心とした「ふるさと教育」の中心に位置づけて学習している。恥ずかしがったり積極性の向上が求められたりすることが小規模校の児童の課題とよく言われる。しかし、高尾小学校は落語という話芸の伝統文化を学ぶ教育活動を通して、ことばを通して思いを伝え、聞き手の思いを想像して、豊かな表現力を育てることで、見事に解決している。

プロフィール

奥出雲町立高尾小学校

【代表者】
桑山 悟

【役 職】
校長

【活動開始時期】
2013年

【団体所在地】
島根県仁多郡奥出雲町

【HP】
http://mypage.okuizumo.ne.jp/my/igahira/

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:5名(小学生5名)
○指導者:内部6名、外部2名
○協力者(ボランティア等):3名
○開催ペース:定期公演を7月、11月、3月に開催。出張寄席を外部からの要請で開催。年間20公演程度。