小さい頃からぼくの周りには本があふれていました。記憶にはないのですが、2歳頃には母親に図書館に連れて行ってもらい、ロケットと電車の本を片っ端から持ってきて眺めていたそうです。小学生になると、ぼくは図鑑に夢中になります。サイエンスの図鑑を集めてずらりと本棚に並べていました。なかでもお気に入りは、太陽系や銀河などを紹介する「宇宙」とロケットや宇宙探査機を説明する「宇宙開発」の図鑑。ロケットの名前や機能をすべて覚えたり、細かいパーツをじっくり観察して絵を描いたりしていました。ぼくにとって本は、熱中できる世界を広げてくれるものだったのです。
5歳の時、父が買ってきてくれた天体望遠鏡をのぞき込み、
「月はこんなにデコボコしているんだ!」「土星の輪は本当にあるんだ!」と自分の目で宇宙の不思議を発見していくことに夢中になりました。一度心に火が灯ると、もっと知りたくなります。小学生になると図書館に行き、「宇宙」をテーマにした本を読み漁りました。図鑑や科学の本、SFなどに熱中したのを覚えています。もしも本を読むのが得意じゃないなと感じているなら、小学生の頃のぼくのように好きな分野の本をどんどん手にとってみるのがいいんじゃないかな。
図書館で出会った本の中に、「アトム博士のまんが」シリーズがありました。漫画家の手塚治虫と学者の大塚明郎が作った『まんが アトム博士の相対性理論』や漫画家の石ノ森章太郎が描いた『まんが アトム博士の宇宙探検』などに没頭しました。ここまで心を奪われたのは、手塚治虫や石ノ森章太郎がストーリーを作ることが抜群にうまかったからでしょう。ストーリーの大事さは、ノンフィクションの作品も同じです。本であっても、論文であっても、たんに事実を並べるだけでは人から興味を持ってもらうことはできません。不思議と、人間にはストーリーが必要なんですね。
宇宙が大好きだったぼくが大人になって選んだのは、NASAで星を探索するロボットや探査車を開発する技術者の仕事でした。2021年に火星に着陸したローバーや、氷で覆われたエンケラドゥスという星に対応した探査機を開発しています。エンケラドゥスには、大きく裂けたクレバス(氷河などの割れ目)があります。そこでクレバスの間にも入っていけるように、ニョロニョロと蛇のような形状の探査機を作ろうとしているのです。
おもしろいでしょう? ぼくの宇宙の話に少しでもワクワクしてくれる子がいたらうれしいです。ぼくにも宇宙のおもしろさを伝え続けてくれたたくさんの「先輩」たちがいました。みんなにとってぼくもそんな存在でありたいと思っています。
ぼくは技術者をしながら作家として本も書いています。ぼくの書いた『宇宙に命はあるのか』のイベントの時に、漢字にフリガナを振ってもらって、それを一生懸命読んできてくれた子と出会いました! それが本当にうれしくて。それを見て、ぼくもわからないことはたくさんありながらも、小学生の頃から大人向けの本を読んでいたことを思い出しました。
『宇宙の話をしよう』を書いた時には、想像のエンケラドゥスを絵に描いて送ってくれた子がいました。その子ならではの読みかたをしてくれたことを感じ、ぼくも一緒にワクワクしました。そんなふうに、ぼくは本の読みかたはもっと自由であっていいと思っています。
時々、「国語が苦手だから本も読めない」と決めつけてしまっている子がいます。でも、それはとてももったいないこと。というのも、ぼく自身、国語が得意ではなかったけれど、読書は好きでい続けられたから。自分で想像をふくらませてもいいですし、おもしろくない本に出会ったら「なんでおもしろくないのだろう」と分析するような読みかたをしてもいい。本との付き合いかたは自由なのです。
一つ付け加えておくと、国語の教科書やテストにのっているお話は、本で読むとおもしろいものが多いんです! たとえば塾のテキストにのっていた壺井栄の『二十四の瞳』などは、本で読んでそのおもしろさに気づきました。だから、勉強している途中にちょっと気になるなという文章に出会ったら、本を手に入れて読んでみるのもオススメですよ。
おもしろい本が見つけられない子は、尊敬する人がオススメしている本を読んでみるのも手。尊敬する人は家族や友達でもいいですし、有名人やスポーツ選手でもいい。「読む本が人を作る」とはアメリカの哲学者、ラルフ・ウォルドー・エマソンの言葉です。憧れの人の好きな本を読むことで、その人の考え方に近づいてくことができるかもしれません。
おもしろい本に出会い、自由に楽しむ。ぼくは宇宙への関心をそんなふうに育んできました。きっとあなたも、本の中で人生をともにする大切なものと出会うことができるはずです。
図書館で出会った本の中に、「アトム博士のまんが」シリーズがありました。漫画家の手塚治虫と学者の大塚明郎が作った『まんが アトム博士の相対性理論』や漫画家の石ノ森章太郎が描いた『まんが アトム博士の宇宙探検』などに没頭しました。ここまで心を奪われたのは、手塚治虫や石ノ森章太郎がストーリーを作ることが抜群にうまかったからでしょう。ストーリーの大事さは、ノンフィクションの作品も同じです。本であっても、論文であっても、たんに事実を並べるだけでは人から興味を持ってもらうことはできません。不思議と、人間にはストーリーが必要なんですね。
宇宙が大好きだったぼくが大人になって選んだのは、NASAで星を探索するロボットや探査車を開発する技術者の仕事でした。2021年に火星に着陸したローバーや、氷で覆われたエンケラドゥスという星に対応した探査機を開発しています。エンケラドゥスには、大きく裂けたクレバス(氷河などの割れ目)があります。そこでクレバスの間にも入っていけるように、ニョロニョロと蛇のような形状の探査機を作ろうとしているのです。
おもしろいでしょう? ぼくの宇宙の話に少しでもワクワクしてくれる子がいたらうれしいです。ぼくにも宇宙のおもしろさを伝え続けてくれたたくさんの「先輩」たちがいました。みんなにとってぼくもそんな存在でありたいと思っています。
ぼくは技術者をしながら作家として本も書いています。ぼくの書いた『宇宙に命はあるのか』のイベントの時に、漢字にフリガナを振ってもらって、それを一生懸命読んできてくれた子と出会いました! それが本当にうれしくて。それを見て、ぼくもわからないことはたくさんありながらも、小学生の頃から大人向けの本を読んでいたことを思い出しました。
『宇宙の話をしよう』を書いた時には、想像のエンケラドゥスを絵に描いて送ってくれた子がいました。その子ならではの読みかたをしてくれたことを感じ、ぼくも一緒にワクワクしました。そんなふうに、ぼくは本の読みかたはもっと自由であっていいと思っています。
時々、「国語が苦手だから本も読めない」と決めつけてしまっている子がいます。でも、それはとてももったいないこと。というのも、ぼく自身、国語が得意ではなかったけれど、読書は好きでい続けられたから。自分で想像をふくらませてもいいですし、おもしろくない本に出会ったら「なんでおもしろくないのだろう」と分析するような読みかたをしてもいい。本との付き合いかたは自由なのです。
一つ付け加えておくと、国語の教科書やテストにのっているお話は、本で読むとおもしろいものが多いんです! たとえば塾のテキストにのっていた壺井栄の『二十四の瞳』などは、本で読んでそのおもしろさに気づきました。だから、勉強している途中にちょっと気になるなという文章に出会ったら、本を手に入れて読んでみるのもオススメですよ。
おもしろい本が見つけられない子は、尊敬する人がオススメしている本を読んでみるのも手。尊敬する人は家族や友達でもいいですし、有名人やスポーツ選手でもいい。「読む本が人を作る」とはアメリカの哲学者、ラルフ・ウォルドー・エマソンの言葉です。憧れの人の好きな本を読むことで、その人の考え方に近づいてくことができるかもしれません。
おもしろい本に出会い、自由に楽しむ。ぼくは宇宙への関心をそんなふうに育んできました。きっとあなたも、本の中で人生をともにする大切なものと出会うことができるはずです。
質問:文章を上手にまとめられません。どうしたらいいでしょう?
小野さんの答え:自分が抱いた一番大きな感情にフォーカスを当ててみるのはどうでしょう。「感動した!」など胸の中で大きくふくらんだ感情があればそこを丁寧に書いてみるんです。もし「おもしろくない!」という気持ちがわき起これば、それを軸にして書いてみてもいいです。あれもこれも書こうとしてしまうと、一番伝えたいことがうまく伝わらないかもしれません。不要な部分は、勇気を出して削ることも大事なポイントです。
質問:将来、宇宙に関わる仕事をしたいです。今から何をしたらいいですか。
小野さんの答え:やりたいことが決まっている時点で、もう半分は叶ったようなものです! 将来については迷ったり、自分が何をしたいのかわからない場合がほとんどですが、すでに「コレ」というものがあるのは素晴らしいことです。宇宙にまつわる仕事をするには、勉強がとても大事になります。特に、算数と理科は頑張りましょう。あとは「宇宙に関わる仕事がしたい!」とアピールし続けて、チャンスを待ってみてください。
書くことを怖がらず、気軽に始めてみましょう。先生に褒められなくてもいいですし、正解を探す必要もありません。もしSNSをしているのなら、そこに書き込むくらいの気軽さで作文を書いてみるといいと思います。普段、あなたが友達や家族と話していることが他の人にとってはおもしろいはずです。「いいものを書こう」ではなく、自分が「楽しいものを書こう」という気持ちを大切にしてみてください。