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対談・コラム

インタビュー「日本の子どもと情報リテラシー ~どこから見るかで物事は変わる~」 (2/2)

映画監督・森達也さんに聞く

物事は見方で変わる

 そして、リテラシーは何もメディアの情報だけじゃないことも大事。例えばこの紙コップだって上から見るか下から見るかで見え方が変わってくる。物事というのは、どこから見るかで変わってくるんだよと。

こども研 わかりやすいですね。

 人に対しても同じことだと思うんです。クラスに一人だけ馴染めない子がいた。何かとっつきづらい。だから嫌いだと思っていた。でもたまたま学校から一緒に帰ることになった。よく話をしてみたら、実は同じアイドルのことが好きだったりしてすごく気が合った、なんていうこともあるでしょ、と。そういう言い方を、先生や親がしていけばいいんじゃないですか。

こども研 簡単にできることも沢山ありますよね。

生に触れる 実際に行ってみる

 前、NHKの『課外授業 ようこそ先輩』という番組に出演したことがあって、それは自分の母校の小学校に行って授業をするという企画なんです。僕は番組ディレクターにお願いして、爬虫類と虫専門のペットショップでヘビとかムカデとかいろんな動物を買ってきてもらったんです。それをたくさん水槽に入れて教室の真ん中に置き、布を被せておいた。「じゃあ時間だから、みんなこっちに来てごらん」と言って布をぱっと取ったら、もう蜂の巣をつついたような大騒ぎですよ。「せっかくの機会なんだから、よーく見てください」というと、最初はキャーキャー言っていた女の子が恐る恐るヘビの水槽に近づいていって、「よく見たら目がぱっちりしてカワイイ顔してる」とか呟いている。ヘビは怖いものだと思いこんでいるけれど、実はしっかりとヘビの顔を見たことが無い。

こども研 日本人はみんな着物を着ている、というような植えつけられたイメージと同じことですよね。

 ちょっと見方を変えたら違うモノに見えてくるんだということに一回でも気づけば、楽しくなると思うんです。あとは自分で芋づる式に、「じゃあ、あれはどうだろう。これはどうだろう」という風になるんじゃないかな。これは大人も一緒だと思います。

こども研 メディアリテラシーという難しい言葉で言うよりも、そういう体験を積んでいくほうが一番近道かもしれませんね。

 だから、最初の話にもどっちゃいますけど、そういう意味で一番いいのは外国に行くことなんですよ。自分はこう思ってたけど実はこうだったんだという体験がいくらでもできますから。

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